Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 基礎
ワークショップ10 超音波医療における安全性に関する基礎知識

(S179)

VTTQ検査による安全性の検討-動物モデルを使用して-

VTTQ (Virtual Touch Tissue Quantification) safety study in an animal model

飯島 尋子1, 2, 工藤 篤3, 佐藤 公太3, 田中 弘教1, 2, 吉田 昌弘1, 市野瀬 志津子4, 和氣 健二郎5, 有井 滋樹3

Hiroko IIJIMA1, 2, Atsushi KUDO3, Kouta SATO3, Hironori TANAKA1, 2, Masahiro YOSHIDA1, Shizuko ICHINOSE4, Kenjiro WAKE5, Shigeki ARII3

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科, 3東京医科歯科大学大学院肝胆膵総合外科, 4東京医科歯科大学医歯学研究支援センター 機器分析部門, 5ミノファーゲン製薬肝臓リサーチ・ユニット

1Depertment of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Depertment of Internal Medicine,Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, 3Department of Hepato-Biliary Pancreatic Surgery, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine, 4Department of Cellular Physiological Chemistry, Tokyo Medical and Dental University, 5Liver Research Unit, Minophagen Pharmaceutical Co., Ltd.

キーワード :

【はじめに】
超音波検査は,高い安全性を誇り無侵襲診断法として世界に広く浸透し使用されている.一方強力収束超音波などは治療に応用されこれもまた日常に使用されている.近年造影超音波検査や組織弾性診断法なども進歩し,あらゆる分野で超音波検査や治療の重要性,有用性が高まっている.私たちは超音波を安全かつ有効に使用していく義務がある.そこで今回は最近安全性について議論があるARFIを用いラットにおいてその安全性の評価を行った.
【方法】
8週雄性Wistarラット(日本Slc)を,Sonazoid投与群とSonazoid投与なし群にわけそれぞれ,VTTQ照射0回,15回,50回で生化学マーカーおよび組織・形態変化と類洞内の血流変化を検討するため生体顕微鏡による肝類洞微小血流を検討した.肝細胞および類洞壁細胞の変化は,電子顕微鏡学的検討を加える予定である.またそれぞれ,超音波照射直後(30分以内),3時間後,24時間後の時間による変化も検討した.
【結果】
血清マーカーでは,Sonazoidなし群・超音波照射0回,直後ではAST/ALT 56.7±21.1 / 122.4±60.2 (IU/L),TBil 0.03±0.007 (mg/dL),であった.Sonazoidなし群・超音波照射15回,直後ではAST/ALT 71.7±27.8 / 224±92.2,TBil 0.03±0.008であった.Sonazoidなし群・超音波照射50回,直後ではAST/ALT 59.2±17.0 / 196.4±32.1,TBil 0.04±0.013であった.Sonazoid投与群・超音波照射0回,直後ではAST/ALT 53.0±14.0 / 114.0±27.0,TBil 0.03±0.02であった.Sonazoid投与群・超音波照射15回,直後ではAST/ALT 69.4±36.9 /183.9±112.7,TBil 0.05±0.02であった.Sonazoid投与群・超音波照射50回,直後ではAST/ALT 61.7±26.0 / 162.8±47.8,TBil 0.02±0.013であった.組織障害および類洞微小循環・電子顕微鏡学的変化に関しては現時点では検討中である.AST/ALTはSonazoid投与の有無によらず明らかな上昇はない.
【考察】
現時点では超音波ARFI照射直後の検査結果のみの検討であるが,AST/ALTは変化しておらず肝細胞壊死にともなう上昇は考えにくい.今後,組織変化や形態変化と併せて考察する必要がある.
【まとめ】
VTTQ照射直後の血清マーカーは,Sonazoid投与の有無に関わらず変化は少ない.