Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
ワークショップ13 ボリュームデータとしての超音波診断と治療ナビゲーション

(S165)

乳腺Second-look USにおけるReal-time Virtual Sonography (RVS)の有用性

Utility of Real-time Virtual Sonography (RVS) in second-look US on breast imaging

中野 正吾1, 藤井 公人1, 萬谷 京子1, 吉田 美和1, 高阪 絢子1, 塩見 有佳子1, 福富 隆志1, 石口 恒男2, 荒井 修3

Shogo NAKANO1, Kimihito FUJII1, Kyoko YOROZUYA1, Miwa YOSHIDA1, Junko KOUSAKA1, Yukako SHIOMI1, Takashi FUKUTOMI1, Tsuneo ISHIGUCHI2, Osamu ARAI3

1愛知医科大学乳腺・内分泌外科, 2愛知医科大学放射線科, 3日立アロカメディカル第二メディカルシステム技術本部

1Breast and Endocrine Surgery, Aichi Medical University, 2Radiology, Aichi Medical University, 3Medical Systems Engineering Division 2, Hitachi Aloka Medical, Ltd.

キーワード :

【背景・目的】
乳腺画像診断においてMRIは病変の質的診断,乳癌拡がり診断,術前化学療法の治療効果判定に用いられている.MRIは高い感度を示す一方,特異度は報告者間に差があることが知られている.このためMRIではじめて検出される病変(MRI-detected lesion)を認めた場合,3次元画像より病変部位を推測してsecond-look USを施行し,病変の同定ならびに組織学的評価が必要となる.MRIは一般に腹臥位で撮像されるが,乳房は下垂,伸展されるため,MRIとUSの位置情報にずれが生じ,病変の対比が困難なことも少なくない.我々は体表コイルを用いてMRIを仰臥位で撮像し,Real-time Virtual Sonography (RVS) により超音波走査面に対応したMRI-MPRを再構成し,それぞれの画像情報をリアルタイムに比較することができる乳腺画像診断法を開発した(Breast cancer Res Treat 2007).今回,1)second-look USにおけるRVSの意義および2)RVSの精度について検討した.
【対象と方法】
1)2006年6月〜2007年4月に当科で手術を行った原発性乳癌65名を対象とし,RVS併用の有無によるMRI-detected lesionの検出率を比較した.2)2008年12月〜2009年5月に当科でMRIを施行した乳腺疾患51名を対象とし,同一モニター上でのUS画像とMRI-MPR画像の腫瘍径,3次元的位置ずれを計測した.
【結果】
1)MRI-detected lesionを17例(26%: 17/65),23病変認めた.US単独とRVS併用でのsecond-look USでのMRI-detected lesionの検出率を比較したところ,US単独では30%(7/23)であったが,RVSを併用することで83%(19/23)まで病変の検出率を改善することが可能であった(p=0.001) (JJCO 2009).2)腫瘍径の平均値はUS画像 12.3mm,MRI-MPR 14.1mmで有意な相関がみられた(r=0.848, p<0.001).transverse方向,sagittal方向,皮膚からの深部方向の位置ずれは7.7,6.9,2.8mmであり,3次元誤差は12.0mmであった(Ultrasound Med Biol 2012).
【考察】
RVSは異なったモダリティの画像情報の相互補完により,USのリアルタイム性を活かしながら,USの再現性・検者間の信頼性を高めることが可能であり,乳腺second-look USにおいて有用である.