Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
パネルディスカッション6 超音波専門医および検査士制度における領域の見直し:消化器領域を腹部領域とすることを議論する

(S153)

消化器領域を腹部領域とすることを議論する(産婦人科領域)

To discuss the digestive field as the abdominal field from the standpoint of Obstetrics and Gynecology

坂田 麻理子1, 小林 浩一2

Mariko SAKATA1, Kouichi KOBAYASHI2

1自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科, 2社会保険中央病院産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Jichi University Saitama Medical Center, 2Obstetrics and Gynecology, Social Insurance Chuo General Hospital

キーワード :

「腹痛を主訴とする女性が救急を受診した」という場面で診察依頼を受けたことのない産婦人科医はいないであろう.たとえ,産婦人科疾患ではないことが明らかな場合でも,「婦人科疾患のルールアウトのために」産婦人科医がコールされる.産婦人科が併設されている施設では,分娩待機のために,一般当直とは別に産婦人科医が当直しているケースが多いことから,婦人科疾患が疑われた場合に,一般救急としてではなく,まず産婦人科医に相談する,という流れができているのであろうと思われる.一方で,“産婦人科が常駐していないが救急受け入れを実施している施設”から,「婦人科疾患もチェックしたいが,婦人科がない.婦人科疾患でなければまた対応しますから,とりあえず診察だけお願いします.」と救急診療の依頼をうけることも少なくない.これらは受診者にとっても初期治療開始以前に移動を強いられる負担や,診断の遅れによる症状の増悪などを招きかねず,デメリットが大きい.真に緊急対応を必要とする疾患への対応は誠心誠意対応するが,当直産婦人科医にとって,産科救急の転送・受け入れでさえままならない現状では,できれば一定のスクリーニングをへてから声をかけてほしいというのが本音ではないだろうか.演者は関東,東海,関西地区での勤務経験があるが,どこも前述のような日々の状況はほとんど変わらないため,これらは特殊なケースではなく,実態なのではないかと感じている.本稿では,婦人科救急として卵巣嚢腫茎捻転,子宮外妊娠の診断と鑑別について,参加救急として妊娠初期流産,陣痛発来,常位胎盤早期剥離について概説する.また,超音波所見には乏しいが,女性の救急疾患として頻度の高い月経に関連した痛み(月経困難症,月経前症候群など)についても解説する.産婦人科の医師数の減少が世間の知るところになり,その結果,ここ数年で見かけ上減少に歯止めがかかったとされているが,現場の現役の産婦人科医は決して増加しているわけではない.産婦人科以外の医師や超音波検査士,特に指導超音波検査士をめざすエキスパートの検査士の方々には,ぜひ婦人科救急疾患,緊急対応を要する産科的疾患へのご理解を今まで以上にお願いしたいと切実に考えている.