山崎 修¹, 槙田 紀子¹, 藤田 惠¹, 片桐 大輔¹, 田口 学¹, 飯利 太朗¹, 福本 誠二¹, 宮川 めぐみ³, 小川 利久², 藤田 敏郎¹

Osamu YAMAZAKI¹, Noriko MAKITA¹, Megumi FUJITA¹, Daisuke KATAGIRI¹, Manabu TAGUCHI¹, Taro IIRI¹, Seiji FUKUMOTO¹, Megumi MIYAKAWA³, Toshihisa OGAWA², Toshiro FUJITA¹

¹東京大学医学部附属病院腎臓内分泌内科, ²東京大学医学部附属病院乳腺内分泌外科, ³国家公務員共済組合連合会虎の門病院内分泌センター内科

¹Nephrology and Endocrinology, The University of Tokyo Hospital, ²Metabolic care and endocrine surgery, The University of Tokyo Hospital, ³Center of Endocrinology, Toranomon Hospital

キーワード :

【諸言】
Multiple Endocrine Neoplasia（MEN：多発性内分泌腺腫症）1型は多種多様な内分泌腫瘍を発症する疾患群である．合併症の一つとして副甲状腺機能亢進症が知られている．
【目的】
当院で経験したMEN1型合併副甲状腺機能亢進症と，原発性副甲状腺機能亢進症の患者との背景比較を行った．また，エコーを用いて副甲状腺の体積を求め，分泌量の比較を行った．
【方法】
2007〜2009年までに頚部エコーを行い手術で副甲状腺組織と確定診断した患者を抽出した．患者は，MEN1型4名，原発性副甲状腺機能亢進症9名．患者の背景比較（年齢・補正血中Ca濃度・eGFR）を求めた．エコーを用い，患者の推定副甲状腺体積とintactPTH分泌との関連を求めた．なお，エコー推定体積は，楕円球の公式（半径a×b×c×π×3/4）を用いて測定した．術前intactPTH分泌と体積との相関関係をプロットし，最少二乗法を用いて回帰式を求めた．
【結果】
MEN1型患者群では，既存の原発性副甲状腺機能亢進症の群に比し，単位体積（1立方ミリメートル）あたりのintactPTH分泌量が増加する傾向を認めた（0.36±0.12 vs 0.58±0.20，Mean±SEM）．またMEN患者において，血中Ca濃度にかかわらず分泌能があり，かつ分泌量は腎不全により促進する傾向を認めた．文献学的考察を含め，報告する．