櫻井 健一^{1, 2}, 藤崎 滋², 前田 哲代^{1, 2}, 原 由起子^{1, 2}, 植田 雄一^{1, 2}, 榎本 克久¹, 天野 定雄¹, 久保井 洋一², 富田 凉一², 柴田 昌彦³

Kenichi SAKURAI^{1, 2}, Shigeru FUJISAKI², Tetsuyo MAEDA^{1, 2}, Yukiko HARA^{1, 2}, Yuuichi UEDA^{1, 2}, Katsuhisa ENOMOTO¹, Sadao AMANO¹, Youichi KUBOI², Ryouichi TOMITA², Masahiko SHIBATA³

¹日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科分野, ²医療法人社団藤崎病院外科, ³福島県立医科大学腫瘍生体治療学講座

¹Breast and Endocrine Surgery, Nihon University School of Medicine, ²Surgery, Fujisaki Hospital, ³Ongology, Fukushima Medical University

キーワード :

【目的】
1cm以下の腫瘤像形成性病変の特徴を把握する．
【対象】
過去5年間に経験し，超音波検査施行後に手術を施行した1cm未満かつ充実性の腫瘤形成性病変248症例を対象とした．
【方法】
腫瘍径，乳腺境界線の断裂の有無，境界部高エコー像の有無，縦横比，について評価を行った．統計学的検定は多変量分散分析法を用いてp＜0.05を有意差ありと判定した．
【結果】
腫瘍径の平均値は0.7±0.2cmであった．乳腺境界線の断裂または境界部高エコー像を認めたもの186例（75.0%）．縦横比が0.7以上であったもの61例（24.6%）．いずれかを認めたものは230例（92.4%），いずれも認めないもの18例（7.6%）であった．悪性の所見がなかった18例のうち腫瘍径が5mm以下のものが12症例を占めていた．これらのうち10例の最終病理診断がDCISであった．
【結語】
1cm以下の乳癌の超音波検査で90%以上の症例で悪性を疑わせる所見が認められた．悪性の所見を認めなかった症例は腫瘍径の小さいものが多く，組織型としてDCISが多かった．これらの症例について，超音波検査のみでは良性腫瘍との鑑別が困難であると考えられた．