Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
体表・表在:その他

(S534)

超高齢者乳癌に対する超音波検査の有用性について

Usefulness of Ultrasonography for Senior Breast Cancer Patients

原 由起子1, 2, 櫻井 健一1, 2, 藤崎 滋2, 前田 哲代1, 2, 植田 雄一1, 2, 柴田 昌彦2, 3, 榎本 克久1, 天野 定雄1

Yukiko HARA1, 2, Kenichi SAKURAI1, 2, Shigeru FUJISAKI2, Tetsuyo MAEDA1, 2, Yuuichi UEDA1, 2, Masahiko SHIBATA2, 3, Katsuhisa ENOMOTO1, Sadao AMANO1

1日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科分野, 2医療法人社団藤崎病院外科, 3福島県立医科大学医学部生体腫瘍治療学講座

1Breast and Endocrine Surgery, Nihon University School of Medicine, 2Surgery, Fujisaki Hospital, 3Oncology, Fukushima Medical University

キーワード :

【目的】
超高齢者乳癌に対する超音波検査の有用性について検討する.
【対象】
過去10年間に経験した90歳以上の高齢者乳癌14症例を対象とした.
【方法】
併存疾患,検査方法,診断方法,治療方法,臨床病理学的因子についてretrospectiveに調査した.
【結果】
造影剤が使えない,認知症,不穏,体位がとれないなどの理由で造影CT検査,造影MR検査が受けられなかった症例が8例(57.1%)存在した.これらの症例では乳癌の質的診断,広がり診断,転移の検索,術式の決定に超音波検査が大きく寄与していた.何らかの手術を受けたもの6症例,ホルモン受容体が陽性でホルモン治療のみで経過を観察したものは8症例存在していた.治療開始後の平均観察期は3.4年であった.予後について,他病死7例,転移・再発を認めず経過観察中が5症例.転移・再発を認め,原病死したもの1例であった.
【結語】
高齢者乳癌の悪性度は低く,リンパ節転移の頻度は低いとされている.高齢者乳癌の手術療法として,年齢によって術式を縮小する必要はないとする考え方が一般的であるが,術前画像検査でN0の症例では腋窩リンパ節郭清が省略されることが多い.併存疾患を持ち全身麻酔が難しい場合,腫瘤摘出術のみを行うこともまれではない.高齢者乳癌はホルモン受容体陽性症例が多く,手術後に化学療法を行うよりもホルモン療法のみを行った方が良好な成績であったとする報告もある.超高齢者乳癌において,診断をつけて治療方法を決定して治療を開始するにあたって,併存疾患によりCT,MRI検査が受けられない場合,超音波検査は臨床病期の決定,術式決定,治療方針の決定に有用であると考えられた.