松野 徳視¹, 宮崎 さや子¹, 吉岡 二三^{2, 3}, 三栖 弘三¹, 田中 幸子²

Noritoshi MATSUNO¹, Sayako MIYAZAKI¹, Fumi YOSHIOKA^{2, 3}, Kouzou MISU¹, Sachiko TANAKA²

¹地方独立行政法人府立病院機構大阪府立成人病センター臨床検査科, ²地方独立行政法人府立病院機構大阪府立成人病センター検診部, ³医療法人三世会河内総合病院内科

¹Division Clinical Laboratory, Osaka Medical Center for Cancer and CVD, ²Cancer Survey, Osaka Medical Center for Cancer and CVD, ³Internal Medicine, Medical Corporation Sanseikai Kawachi General Hospital

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エラストグラムを硬さの指標として用いることにより，癌の転移リンパ節と炎症性腫大リンパ節との鑑別が可能との報告がある．しかしながら，表在リンパ節の硬さをエラストグラムで評価する場合，プローブを当てる方向や圧迫の強さにより異なった所見となり，再現性に問題のある場合も少なくない．今回，我々はリンパ節と接している周辺組織のエラストグラムに注目する事により，腫大した表在リンパ節の硬さをより客観的に評価し得るのではないかと考えた．
【目的】
癌の転移リンパ節と悪性リンパ腫（以下ML）による頚部腫大リンパ節の鑑別
【対象および方法】
対象は下頸部転移リンパ節と悪性リンパ腫の各4症例，計8結節である．病変部を描出し，手による軽い圧迫と解除をプローブに加えながら連続画像として記録した．断続的に録画されたエラストグラム表示画像のうち圧迫解除時の画像を10画像以上の静止画として採用し，各画像について大きな歪みを表す赤色の表示領域について以下の基準で評価した．
A,体表側周辺部の評価：リンパ節の体表側に接する部分の赤色領域の広さ
B,背側周辺部の評価：リンパ節の背側に接する部分の赤色領域の広さ
C,リンパ節内部の赤色表示の有無
【結果】
癌の転移リンパ節では・全症例で60％以上と比較的安定して体表側周辺部に広い赤色領域（A）が認められた．・4例中3例において背側周辺部に広い赤色表示（B）を示さなかった．・悪性リンパ腫例では全症例に背側周辺部の赤色表示（B）が安定して認められた．・リンパ節内部の色調（C）は転移リンパ節では青色表示，悪性リンパ腫では緑色表示が過半を占めたが，悪性リンパ腫例では全例全画像で内部に赤色表示を認めた．
【結語】
エラストグラムは振動の与え方で様々な画像が描出されるが，リンパ節との境界エコーに着目し，内部エコーの主色を勘案すると転移リンパ節と悪性リンパ腫は鑑別可能と思われた．