Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
泌尿器:腎・泌尿器

(S529)

バルーン法エラストグラフィーによる前立腺癌診断

Balloon-inflation elastography for diagnosis of prostate cancer

落合 厚1, 沖原 宏治2, 鴨井 和実2, 三木 恒冶2

Atsushi OCHIAI1, Koji OKIHARA2, Kazumi KAMOI2, Tsuneharu MIKI2

1愛生会山科病院泌尿器科, 2京都府立医科大学泌尿器科

1Urology, Aiseikai Yamashina Hospital, 2Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

【はじめに】
前立腺圧迫用に経直腸検査用プローブに装着するバルーンを用いたバルーン法エラストグラフィはフリーハンド圧迫法に比べ,より安定した画像を得ることができるようになった.また,エラストグラフィを用いた標的生検では系統的生検と比べて,採取本数に対する陽性率が高く効率的な生検法となる可能性があることなども報告されている.私たちは,前立腺生検前の画像診断としてエラストグラフィを施行しており,その有用性につき検討した.
【対象と方法】
PSA上昇,直腸診異常などで前立腺針生検を予定された179例を対象とした.年齢とPSAの中央値 (IQR: interquatile range)は,67歳(61-73歳),8.1 ng/ml (6.1-11.8ng/ml).前立腺生検に先立って別の検査日に,バルーン法エラストグラフィ(日立超音波装置,7.5MHz, dual 10R convex)を行った.前立腺生検では経会陰的8か所生検と,必要に応じて標的生検を追加した.b-mode,エラストグラフィでの異常部位と前立腺生検での癌陽性部位とを比較し,一致した場合を正診とした.
【結果】
生検で74例(41%)が前立腺癌と診断された.B-mode,エラストグラフィの感度は43%,35%であった.B-mode陽性で,エラストグラフィ陽性症例の癌陽性率は72%,エラストグラフィ陰性では58%であった.B-mode 陰性でエラストグラフィ陽性症例の癌陽性率は8%であった.
【考察】
B-mode異常の症例ではエラストグラフィ陽性の場合,癌陽性率が高くなる.エラストグラフィのみで癌病巣が検出可能な症例もあるが,エラストグラフィのみ陽性の場合,偽陽性となる割合が高かった.前立腺生検前の画像診断としてエラストグラフィを用いて病巣を評価する際には,アーチファクト,エラストグラフィ検査用のプローブと生検用のプローブ形状の違い,標的生検がリアルタイムでないなどが,問題点としてあげられた.