Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
泌尿器:腎・泌尿器

(S529)

高齢高血圧患者におけるeGFRと腎葉間動脈血管抵抗との関連

Reration between eGFR and renal artery resistance index about aged patient

依光 展和

Nobukazu YORIMITSU

大洲市国保河辺診療所内科

Internal Department, Kawabe Clinic

キーワード :

【目的】
現在日本において患者数が増大している慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)の診断・評価の方法として,日本腎臓学会が2008年に発表した「日本人のGFR推算式」で計算した推算GFR(eGFR)が用いられている.一方,腎内動脈の血管抵抗(resistive index;RI)上昇がGFR低下に関連すると報告されているが,高齢高血圧患者でのeGFRと腎内動脈RIとの関連については明らかでないため,検討した.
【対象】
当院にて腹部エコーを施行した70歳以上の高血圧患者134例を対象とした.
【方法】
eGFRは,腹部エコー検査日から一週間以内の血清クレアチニン(sCr)から日本腎臓学会が発表したeGFR=194×sCr-1.094×年齢-0.287(女性の場合×0.739)で算出した.腎内動脈のRIは,両側腎葉間動脈の髄質錘体に沿った部分をパルスドプラ法にて収縮期最高血流速度(Vmax:cm/sec),拡張期最低血流速度(Vmin:cm/sec)を計測し,RI=(Vmax-Vmin)/Vmaxを算出した後,両側の平均値を求めてeGFRとの関連を検討した.
【結果・考察】
患者の年齢は70歳から95歳,平均年齢は79.3歳で,平均eGFRは65.0 ml/min/1.73m2で,平均RIは0.66であった.eGFRとRIを散布図にしたところ,eGFRとRIは負の相関が認められた.eGFRとの相関は,Vmax,Vmin,腎長径,腎皮質径でも認められた.CORREL関数でのeGFRとの相関係数はRIで-0.26,Vmaxで0.26,Vminで0.39,腎長径で0.32,腎皮質径で0.42であり,相関の程度が最も大きいのは腎皮質径で,次いでVminであった.RIは腎組織臓における尿細管・間質障害や小動脈硬化・糸球体硬化との関連が指摘されており,腎硬化症における腎機能の指標となりうると考えられるが,eGFRとの相関の程度は弱かった.腎皮質径は長い期間の腎機能低下をよく反映していると考えられ測定も容易であるが,変化率は小さく径時変化は評価が難しいと思われる.糖尿病性腎症では病期の進行とともに腎葉間動脈血流速度が低下することが知られているが,その際VmaxよりVminの方が早期から低下する傾向がある.今回の症例でも同様となり,そのためVmaxやRIよりもVminがeGFRとの相関が強かったのではないかと考えられる.
【結論】
高齢高血圧患者においてeGFRと腎葉間動脈RIには負の相関関係はあるが,腎皮質径やVminよりeGFRとの相関関係は弱い.