Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
産婦人科:症例報告5 3D超音波

(S522)

3D画像が出生前診断に有効であった非典型的な四肢短縮症の一例

A case of atypical micromelia diagnosed with three-dimensional imaging before birth

米原 利栄

Toshie YONEHARA

釧路赤十字病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Kushiro Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
胎児の四肢・骨格異常は約5000例に1例と稀な疾患であり,致死的疾患も含まれるため,可能であれば出生前に可能な限りの正確な診断が望まれる.現在は超音波断層法の普及に伴い,四肢の短縮や骨格の変形,羊水過多などを契機とし,出生前に診断される症例が増加してきている.今回,我々は出生前に,非典型的3D画像が診断に有効であった一例を経験したため報告する.
【背景】
27歳,1経妊1経産.双胎のため帝切既往あり.当該夫婦家系に家族歴なし.妊娠17週で続発性無月経を主訴に当院初診.妊娠24週に,経腹超音波検査にて左大腿骨長(FL)26.4mm(18~19週相当)と短縮を認めた.その後入院とし,MRI検査を施行し,頭部及び消化管異常は認められなかったが,四肢の異常の有無は不明瞭であった.そこで3D超音波検査及び3DCT検査を施行した.これらの検査により,外陰部の形態異常が認められること,四肢の短縮は左右非対称で変形があり,非典型的であることが判明した.染色体異常も疑ったが,ご本人の希望により検査は実施しなかった.胎児の四肢以外の発育は順調であり,仮死の所見も認められなかったため,以後は外来管理とし,妊娠37週に既往帝王切開の適応で選択的帝王切開術を施行した.児は1932g,Apgar Score 8(1分),9(5分)であり,心奇形,消化管奇形も認められず良好に経過したため,生後18日に退院となった.
【結語】
本症例のように骨格系のみならず軟部組織も併せた複合奇形が予想される場合は,CTと超音波検査を組み合わせた3D画像診断が病態把握のために有用であり,患者への情報提供の一助となると思われる.