Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
産婦人科:症例報告2 双胎

(S516)

一絨毛膜一羊膜性双胎の一例 -3D超音波による臍帯相互巻絡の観察

A case of monochorionic monoamniotic twins -imaging technics with 3D ultrasonography of a cord entanglement

後藤 美希, 兵藤 博信, 小松 篤史, 吉田 志朗, 亀井 良政, 上妻 志郎, 武谷 雄二

Miki GOTO, Hironobu HYODO, Atsushi KOMATSU, Shiro YOSHIDA, Yoshimasa KAMEI, Shiro KOZUMA, Yuji TAKETANI

東京大学産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, The University of Tokyo Hospital

キーワード :

【はじめに】
一絨毛膜一羊膜性双胎(MM)は一卵性双胎の約1%に生じ,早産,結合双胎,双胎間輸血症候群,臍帯相互巻絡(CE)等が起こりうる.特にCEを認めた場合,50%以上で子宮内胎児死亡(IUFD)に至るという報告もあるが,CEの形態を超音波で正確に把握することは容易ではない.今回我々は,妊娠17週からCEを認め,生児を得たMMを経験した.3D超音波で臍帯を観察し,どのモード,条件設定が形態把握に有用であるか検討した.
【症例と考察】
28歳1経妊0経産,近医にて双胎の診断,妊娠14週に当科紹介された.初診時,2児間の羊膜は確認できず,妊娠17週でCEを認めMMと診断,妊娠22週より胎児管理目的に入院とした.入院中,胎児心拍reassuring pattern,児発育は順調,羊水量は正常範囲で経過した.IUFDのリスクと在胎週数による生命予後を考慮し,妊娠32週1日に帝切とした.一絨毛膜一羊膜性で,臍帯は真結節1箇所と,その前後にゆるやかなCEを認めた.児は女児で,体重,Apgar Score(1’/5’)は各々1858g 8/9,1735g 5/8だった.両児とも,呼吸管理を要したが神経発達異常は認めず,日齢50で退院となった.妊娠中,GE社Voluson E8を使用し,臍帯を観察した.3D Power Doppler Modeでは,一箇所にCEを認めていることは把握できたが,臍帯近接部位は境界が不明瞭で観察は困難であった.B-Flow Modeでは,空間分解能が高いため臍帯の境界は明瞭であり,結節とその周囲のCEを観察できたが,両児の臍帯の区別は不可能であった.3D HD-Flow Modeでは,B-Flow Modeより境界はやや不明瞭だが,血流の方向が観察可能であり2本の臍帯を区別できた.条件設定だが,Transp.Max Mode(視点から奥行き方向の最高輝度)により輪郭が明瞭となり,Surface Mode(視点から表面の最高輝度)により陰影がつき,この両者を併せて使用することで,CEの形態を明瞭に描出できた.真結節を1回認め,胎盤と結節の間,結節と両児の間にゆるやかにCEを生じていることを確認できた.
【結語】
臍帯の形態把握には,血流の方向が観察可能である3D HD-flow Modeで取り込み,Transp.Max ModeとSurface Modeを併せて使用する方法が有用であると思われた.