Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
産婦人科:その他

(S513)

装着にベルトやテープを必要としない吸着カップ型胎児監視用ドプラ探触子

Suction cup Doppler transducer for fetal monitoring without using belt or tape for placement

竹内 康人

Yasuhito TAKEUCHI

無所属

Independent

キーワード :

【研究の背景】
胎児監視においてドプラ法は主力技術であるが,ドプラ探触子を妊婦の腹壁のしかるべき部位に装着するためには絆創膏様の一時接着テープないし体躯を一周するベルトを用いるのが常である.しかしこの手法は一定の面倒さと不快感を伴い,特に院内また在宅でのさほど長時間ではないNSTなどにおいては利便さおよび快適さの点で改良の余地がある.
【解決せんとする課題】
絆創膏や装着ベルトを用いないで小半時程度の中庸時間腹壁に係留できる構造の探触子を開発する事である.
【好ましくない先例】
この課題の解決のために平型探触子を両面接着テープもしくは生体適合性のある一時接着剤にて腹壁に仮接着する手法が提案されていたように思うが,書誌学的背景が発見出来ず,さらに調査中である.
【課題解決の手段方法】
変形容易なシリコーンゴムで出来た直径5cm実行深さ2.5cmほどの小さなカップ状の容器の内部空間の頂点部分に拡散レンズによる指向性を広くとった送受波器アセンブリーを配置し,引き出し線を気密に引き出し,これを吸盤(吸着カップ)の動作により腹壁に押し付け変型させ復元力により吸着させる.吸い出されて盛り上がった体表面はカップ内で送受波器に接して安定する.界面には予め微少量の音響結合ゲルを併用する.送受信電子回路を含む胎児監視装置としてhp8040A型を用い,振動子との結合にはインピーダンスマッチングのための昇圧トランスを用いる.振動子の直径は1cm,超音波周波数は1MHz,拡散レンズの仮想焦点は振動子背後約8cm,送受信モードはロングパルス・パルスドプラ,繰り返し周波数は約3KHzである.
【結果と考察】
吸着状態で少なくとも30分以上に渡り安定した心拍数図が得られた.安定した吸着維持のためには皮膚表面が清浄である事が必須であった.吸着部における陰圧による赤発,誘発発汗などはこの程度の短時間の使用では速やかに消退するが,長時間の連続監視においては考慮を要する可能性がある.本法は院内また在宅でのさほど長時間ではないNSTなどにおいて利便さおよび快適さの点で好ましい手法であると考えられ,実用設計へ移行している.