Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
産婦人科:胎児診断

(S511)

先天性横隔膜ヘルニアにおけるLHR(肺断面積/頭囲比)の有効性に関する検討

The effect of LHR in congenital Diaphragmatic Hernia.

吉村 秀一郎, 三浦 清徳, 吉田 敦, 増崎 雅子, 宮本 正史, 増崎 英明

Shuichiro YOSHIMURA, Kiyonori MIURA, Ashushi YOSHIDA, Masako MASUZAKI, Masasi MIYAMOTO, Hideaki MASUZAKI

長崎大学産婦人科

Obsterics & Gynecology, Nagasaki University

キーワード :

【目的】
胎児横隔膜ヘルニアにおける胎児肺低形成の診断は困難な事が少なくない.Laudy らは2003年,先天性横隔膜ヘルニアにおいて,出生前の肺断面積/頭囲(LHR:the lung-to-head ratio)比 が,予後と相関することを報告した.そこで,私どもは先天性横隔膜ヘルニア(CDH)の予後推定における,出生前超音波断層法によるLHRの有用性について検討した.
【対象】
1993-2007年までに当科で左CDHと診断された17胎児(すべて単胎)を対象とした.
【方法】
CDHと診断された17症例において,超音波断層法によりLHRを測定した.LHRは,右肺断面積(縦x横)/頭囲[(BPD+OFD)π/2]とし,分娩に最も近い測定値を使用した(図).
【結果】
CDH17例中,羊水過多は7/17(41%)例に,呼吸様運動および縦隔偏位は全例に認めた.LHRは1.0未満:5例,1.0-1.4以下:3例,1.4<:9例であった.分娩週数は38.7±1.7週,出生体重は2,915±568gであった.6/17例が帝王切開で出生し,臍帯血ガスのpHは7.33±6.6であった.出生後,小児外科で横隔膜閉鎖術(2-9日)が施行されたが,重症呼吸障害を認めた新生児のうち,6例が死亡した.死亡例のLHRは,1.0以下:4/5例,1.0-1.4以下:1/3例および1.4<は1/9例であった.生存例の平均LHRは1.94±0.73および死亡例では0.98±0.52と生存例で有意に高値であった(p<0.01).
【考察】
先天性横隔膜ヘルニアにおいて,出生前超音波断層法によるLHRの計測は新生児の予後推定に有用である.