Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
消化器:症例報告3 胆・膵

(S507)

EUS下胆嚢ドレナージ術が奏効した急性胆嚢炎の4例

4 cases of acute cholecystitis successfully treated by EUS guided gallbladder drainage

林 香月1, 中沢 貴宏1, 安藤 朝章1, 宮木 知克1, 内藤 格1, 奥村 文浩1, 大原 弘隆1, 川合 孝2, 川井 祐輔2, 城 卓志1

Kazuki HAYASHI1, Takahiro NAKAZAWA1, Tomoaki ANDO1, Tomokatsu MIYAKI1, Itaru NAITO1, Fumihiro OKUMURA1, Hirotaka OHARA1, Takashi KAWAI2, Yusuke KAWAI2, Takashi JOH1

1名古屋市立大学消化器・代謝内科学, 2名古屋市立東部医療センター東市民病院消化器内科

1Department of Gastroenterology and Metabolism, Nagoya City University, 2Department of Gastroenterology, East Medical Center Higashi Municipal Hospital City of Nagoya

キーワード :

近年,胆膵疾患におけるEUS(Endoscopic ultrasonography)関連手技の発達は瞠目すべきものであり,診断のみならずConvex EUSを用いた治療へと応用されている.今回,EUS下胆嚢ドレナージ術が奏効した急性胆嚢炎の4例を経験した.
【症例1】
88歳,男性.胆石胆嚢炎.既往歴に左慢性硬膜下血腫,脳血栓症,認知症.炎症反応高値,発熱を認め転院.腹痛は意思疎通困難なため不明であった.外科より胆嚢摘出術は困難と判断されPTGBD,ENGBDを考慮したが,外瘻術は自己抜去の可能性が高いと想像されたためEUS下胆嚢ドレナージ術を家族に十分なI.C.と倫理委員会承認のうえ施行した.使用した超音波内視鏡はGF-UCT240で胃・十二指腸より腫大胆嚢や胆嚢頚部の結石を確認し総胆管結石が無いことも確認した.穿刺部位は胃幽門部で穿刺ライン上に介在する血管が無いことを確認し,19G針で胆嚢を穿刺し十分に感染胆汁を吸引した.その後,0.035inchガイドワイヤーを胆嚢内に留置し穿刺部を拡張し7Frの両側Pigtailカテーテル(ループ間2cm)のプラスチックチューブを留置し内瘻術とした.手技時間は32分であった.EUS下胆嚢ドレナージ術7日後に退院可能となり,施行後119日の現在も生存中でチューブ閉塞は認めていない.
【症例2】
51歳,男性.胆石胆嚢炎.既往歴にB型肝硬変,多発肝細胞癌,転移性肺癌.腹痛と発熱のため入院.多量腹水や肝硬変のため手術やPTGBDは困難と考え,症例1と同様に穿刺部は胃幽門部で7Frの両側Pigtailカテーテルを用いてEUS下胆嚢内瘻術を施行した.手技時間は20分であった.術25日後に退院され施行後92日の現在も生存中でチューブ閉塞は認めていない.
【症例3】
86歳,男性.胆嚢頸部癌による胆嚢炎.既往歴に膀胱癌,尿管癌,腎不全,認知症.腹痛は意思疎通困難なため不明であった.胆石胆嚢炎のためPTGBDを施行していたものの自然脱落を繰り返した.同様に穿刺部は胃幽門部で7Frの両側Pigtailカテーテルを用いてEUS下胆嚢内瘻術を施行した.手技時間は16分.術7日後に退院され施行後68日の現在も生存中でチューブ閉塞は認めていない.
【症例4】
76歳,男性.胆管Metallic stent留置後胆嚢炎.既往歴に膵癌,糖尿病,認知症.多量腹水,感染性腹膜炎,胆嚢周囲膿瘍,腹腔内膿瘍を認めた.EUS下胆嚢内瘻術では感染コントロールが不良と考え,6FrのENBDカテーテルによるEUS下胆嚢外瘻術ドレナージ術を十二指腸球部から施行した.手技時間は63分.感染軽快後は胆嚢内瘻術に変更した.退院は不可能であり施行後21日に死亡されたがチューブ閉塞症状は認めなかった.今後,EUS下胆嚢ドレナージ術は手技や処置具の発展に伴い,外科的手術療法やPTGBD,ENGBDが施行または管理困難な症例には有用な治療法となると思われ,近年のEUS下胆嚢ドレナージ術の報告例も検討した.