脇 英彦¹, 伊東 宏祐¹, 宋 順治¹, 安井 智明², 岡本 亮², 栗本 亜美², 覚野 綾子³, 岸 清彦⁴, 山中 若樹²

Hidehiko WAKI¹, Kohsuke ITO¹, Junji SOH¹, Chiaki YASUI², Ryo OKAMOTO², Ami KURIMOTO², Ayako KAKUNO³, Kiyohiko KISHI⁴, Naoki YAMANAKA²

¹医療法人　明和病院臨床検査科, ²医療法人　明和病院外科, ³医療法人　明和病院病理, ⁴医療法人　明和病院内科

¹Department of Medical Technology, Meiwa Hospital, ²Department of Surgery, Meiwa Hospital, ³Department of Pathology, Meiwa Hospital, ⁴Department of Internal Medicine, Meiwa Hospital

キーワード :

GISTは通常消化管から発生する比較的まれな粘膜下腫瘍である．その中で，胃GISTの発生部位は最も高く，存在診断にはCT，超音波内視鏡の有用性が広く知られている．また，体外式超音波検査の有用性も散見される．しかし，腹膜転移性GISTの体外式超音波の報告例は少なく，かつSonazoidを用いた造影超音波所見の報告はほとんどない．今回，胃GIST術後の腹膜転移性腫瘍の1例を経験した．そのB-modeと造影超音波所見を報告する．
【症例】
69歳女性　H17年に胃GISTに対して胃全摘術，脾摘を施行．H22年PET/CTにて，下行結腸左側に径3cmのFDG集積を伴う腫瘤性病変を認めた．
【超音波所見】
体外式B-modeは，PET/CTと同部位に2.2×1.9×1.0cm楕円形，形状整，境界明瞭の低エコーとして描出された．消化管との連続性は認めなかった．また，腹部大動脈の腸骨分岐部左側に同様の超音波性状である腫瘤4.1×2.9×1.8cmを認めた．
【造影超音波】
腫瘤は投与後25秒より辺縁から中心部に向かい網目状に染影されたが腫瘤全体は染まらず不均一であった．染影された部位は40秒より低輝度となり，流出血管と思われる比較的太い血管の造影を認めた．
【手術・病理所見】
術前超音波に認められた2か所以外に腸管膜上0.5cmの小結節も含め切除した．病理所見は紡錘形細胞が束状に密に増生，C-kit（＋），CD34（＋），核分裂像1/50HPFで中等度リスクGISTと診断された．
【まとめ】
体外式超音波で確認できた胃GIST術後の腹膜転移性腫瘍の1例を経験した．B-modeでは，楕円形，境界明瞭な低エコーとして描出され，リンパ腫大との鑑別は困難であった．また，造影超音波では豊富な血流を認めたが，腫瘤内部に染影のムラが生じた．腹膜転移性GISTの超音波診断では，造影超音波が有用であると考えられた．