Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
消化器:症例報告2 消化管・その他

(S505)

超音波検査で発見された未破裂胃大網動脈瘤の1例

A case of non ruptured aneurysm of the gastroepiploic artery

森 宏仁

Hirohito MORI

香川大学医学部消化器・神経内科

Department of Gastroenterology and Neurology, Kagawa university

キーワード :

【症例】
80歳,男性.(主訴):特になし(既往歴)45歳虫垂炎,60歳高血圧,77歳慢性C型肝炎 (家族歴):特になし(現病歴):慢性肝炎(HCV)にて近医に通院しており,2007年7月の腹部超音波検査では異常所見は見られなかった.2008年2月下旬,腹部超音波検査にて肝外側区と胃前庭部の境界に3cm大のmassを認め,精査加療目的に当院紹介となった.入院時現症には特記すべき事項認められなかった.
【経過】
入院後,腹部超音波検査再検査し,肝外側区と胃前庭部の境界にやはり径3cm大の類円形の腫瘤を認めた.同日,腹部単純・造影CT検査を施行し,中心部が門脈相で著明に濃染し,周囲に血栓を伴うような類円形の腫瘤を認めた.胃周囲動脈瘤を疑い,腹部血管造影検査施行.胃大網動脈瘤を認めたため,コイルを用いて動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した.後日の腹部超音波検査と腹部単純・造影CT検査で動脈瘤の縮小と濃染の消失を認めた.
【考察】
胃大網動脈瘤はまれな疾患であり,Zelenockらは腹部内臓動脈瘤全体の0.4%と報告している.成因として,動脈硬化,解離性動脈瘤,外傷,炎症性,術後,仮性動脈瘤,SLE,Segmental arterial mediolysis(SAM)などが挙げられる.腹部超音波検査を契機に発見され未破裂で治癒できた,まれな胃大網動脈瘤の1例を経験したので若干の考察を加えて報告する.