Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
消化器:症例報告2 消化管・その他

(S503)

腸間膜脂肪織炎の超音波所見(4例の経験から)

Sonographic findings of mesenteric panniculitis

伊集院 裕康1, 厚地 伸彦1, 厚地 良彦1, 通山 めぐみ2, 神山 拓郎3, 高濱 哲也4, 河野 竜二4

Hiroyasu IJUIN1, Nobuhiko ATUTI1, Yshihiko ATUTI1, Megumi TOORIYAMA2, Takurou KAMIYAMA3, Tetuya TAKAHAMA4, Ryuji KAWANO4

1天陽会中央病院内科, 2天陽会中央病院検査室, 3天陽会中央病院放射線科, 4天陽会中央病院外科

1Internal Medicine, Tenyoukai Chuo Hospital, 2Clinival Laboratory, Tenyoukai Chuo Hospital, 3Radiology, Tenyoukai Chuo Hospital, 4Surgery, Tenyoukai Chuo Hospital

キーワード :

【はじめに】
腸間膜脂肪織炎は原因不明の非特異的炎症疾患である比較的稀な疾患である.今回 我々は 約9ヶ月の間に4例経験したので報告する.
【症例 1】
61歳男性.食欲不振にて発症し次の日 腹部の激痛あり救急車にて来院.腹膜刺激症状無く.採血では軽度の炎症所見WBC 12100 CRP 1.7であった.腹部CTにて 上腸間膜に沿った脂肪織のCT値の上昇および 小さな軟部組織 小結節あり腸間膜織炎と診断した. 腹部エコーでは 腹痛部位に一致して腸間膜が境界不明瞭な高輝度として描出された.当症例は 入院後間歇的に腹部激痛 激しい嘔吐出現.抗生剤投与 ステロイド投与したがあまり改善無かった.低Na血症による意識障害出現したが輸液にて補正した.その後より次第に症状改善した.
【症例 2】
52歳男性.10日前より間欠的にきりきりした痛み出現し来院.腹膜刺激症状無く.採血では軽度の炎症所見WBC 7000 CRP 2.0であった.腹部エコーにて痛みに一致して腸間膜脂肪織の高輝度化および高輝度部のにじみ像認めた.CTでは上腸間膜に沿った脂肪織のCT値の上昇および 小さな軟部組織 小結節あり腸間膜織炎と診断した.約一週間にて痛み改善した.
【症例 3】
54歳男性.アルコール依存の患者.慢性膵炎にて経過観察中.いつも心窩部痛を認めていたが 臍周囲部痛を訴えた.アミラーゼ 54 リパーゼ 32と正常で軽度の炎症所見WBC 7000 CRP 2.0であった. 腹部エコーにて痛みに一致して腸間膜脂肪織の高輝度化および高輝度部のにじみ像認めた.また 多数の低エコー結節を高輝度内に認めた.CTでは上腸間膜に沿った脂肪織のCT値の上昇および 小さな軟部組織 小結節あり腸間膜織炎と診断した.当症例は膵炎増悪も否定できなかったので 絶食 FOY投与した.痛みは数日で軽快したが入院中 アルコール摂取し強制退院となった.
【症例 4】
70歳男性.前立腺術後2日目より腹痛出現.激痛であるが間欠的であり嘔気も伴っていた.腹部エコーにて痛みに一致して腸間膜脂肪織の高輝度化および高輝度部のにじみ像認めた.また 低エコー結節を高輝度内に認めた.CTでは上腸間膜に沿った脂肪織のCT値の上昇および 小さな軟部組織 小結節あり腸間膜織炎と診断した. 当症例は 十二指腸潰瘍合併ありPPIおよび輸液にて経過を診た.数日にて痛みは改善した.
【結語】
比較的稀な症例を比較的短期間の間に4例経験した.腸間膜脂肪織炎を知ることが発見につながると思われた.超音波所見の特徴は痛みに一致した部の腸間膜の異常所見高輝度化 にじみ像 内部の低結節に気づくことが大切と思われた.