Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
血管:新しい応用

(S497)

急性大動脈解離におけるAutopsy Ultrasonography(AUS)の検討

Evaluation of Autopsy Ultrasonography in diagnosis of Acute aortic disection

陶山 芳一

Yoshikazu SUYAMA

陶山医院 北署警察医消化器

Gastroenterology, Suyama clinic

キーワード :

【目的】
死因診断においてCTを主とするAutopsy Imagingが注目されているが,より簡便な超音波検査が有用であるか否か,急性大動脈解離AADの診断をとうして検討した.
【対象・方法】
07年〜2010年の間演者が関与した検死440件中34例の死因を急性大動脈解離AADとした.この中26例に検死時超音波検査Autopsy Ultrasonography AUSを行った.AAD34例について経過,診断過程を,26例の超音波像を検討した.AUSは携帯用超音波診断装置SonoSite TITAN,コンベックス型汎用プローブを用いた.AAD件数は07年2例08年4例09年7例,10年には21例と急増傾向にある.年齢は80歳未満が35%,80歳以上が65%.大動脈瘤・解離の既往が7例に,AMI,ASO,脳血管発作の既往が12例,糖尿病・高血圧が14例に認められた.
【結果】
 発症は卒倒・意識消失が26例,胸・背・肩・腹部の痛みが14例,吐血・嘔吐が3例にあった.31例が救急搬送され全例CPAOA・CPAERで,搬入後3時間以内に死亡確認され検死となった.07〜09の13例では発症経過,胸部XPやAUS所見から診断され,2010年には5例でCT診断が併用された.AUSを07から導入したが,当初は血胸や腹部大動脈瘤の確認など間接所見であった.2010年3月より胸骨上縁や右縁左縁から観察を試み,上行大動脈・弓部の拡張,遊離した動脈壁(フラップ)等解離の直接所見を17例で確認できた.血性胸水を9例で,心のう液貯留を4例で認めた.救急搬送なしの3例では経過とAUSの所見からAADと診断した.AUSを行うも観察困難例が3例あった.
【結語】
発症経過,胸部XP,CTとともに,Autopsy Ultrasonography AUSによってAADの診断は可能である.(Fig)94歳女性,胸骨右縁第2肋間より上行大動脈の拡張,フラップを認める.