Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告6 弁膜症・その他

(S489)

弁輪下dehiscenceの診断に三次元経食道心エコー図が有用であった僧帽弁形成術後の一例

Usefulness of Real Time Three Dimensional Transesophageal Echocardiography in Diagnosis of the Dehiscence after Mitral Valve Replacement

土至田 勉, 茅野 博行, 松井 泰樹, 福岡 裕人, 小林 洋一

Tsutomu TOSHIDA, Hiroyuki KAYANO, Taiju MATSUI, Hiroto FUKUOKA, Youichi KOBAYASHI

昭和大学医学部内科学講座 循環器内科学部門

Department of Medicine, Division of Cardiology, Showa University School of Medicine

キーワード :

症例は55歳女性.既往歴,家族歴ともに結合組織疾患の既往はない.2000年より,左側腹部に拍動性のある腫瘤に気付き当院受診.精査により腹部大動脈瘤と側頭動脈瘤を指摘され,当院血管外科で人工血管置換術が施行された.摘出した腹部大動脈の病理所見で中膜の脱落所見を認められたが,側頭部の動脈壁の病理所見には異常は見られなかった.その後,2008年に発作性上室性頻拍症が出現したため,当科で心機能評価のため経胸壁心エコー図検査を施行.その結果,僧帽弁前尖逸脱症(A3)による中等度の僧帽弁逆流および三尖弁逆流を認めた.そのため,当院心臓外科で僧帽弁形成術,三尖弁形成術,およびMAZEが施行された.以後,経過は良好であったが,2009年1月より収縮期雑音が出現,3月には上り坂で息切れを自覚するようになった.同年4月,経胸壁心エコー図検査で中等度の僧帽弁逆流が再度出現していたが,原因としてcoaptation不良が考えられた.その後,さらに心雑音が増悪したため,精査目的で9月に三次元経食道心エコー図法を施行した.その結果,僧帽弁前尖(A3)での逸脱症および僧帽弁前尖での後交連側弁輪部下にdehiscenceを認めた.そのため,9月7日に僧帽弁置換術が施行された.術中所見としては,三次元経食道心エコー図法の所見と同様にdehiscenceを認めたが,弁輪の動揺は呈していなかった.原因として,僧帽弁前尖の縫合糸一針の脱落が考えられた.今回,僧帽弁形成術後の弁機能不全の評価目的で三次元経食道心エコー図法を施行したが,経胸壁心エコー図検査では検出が困難である弁輪部下のdehiscenceの診断と部位同定が可能であった.三次元経食道心エコー図法を施行することでdehiscenceの部位や形状,大きさの同定が可能であり,今後の臨床の場での応用に期待できる.