Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告3 たこつぼ心筋症

(S482)

糖尿病性ケトアシドーシスによる心肺停止に付随しタコツボ心筋症を発症した一例

A case report of Takotsubo cardiomyopathy accompanied by cardiopulmonary arrest due to diabetic ketoacidosis.

稲葉 芳絵

Yoshie INABA

鎌ヶ谷総合病院循環器科

Cardiovascular department, Kamagaya General Hospital

キーワード :

症例は45歳男性,2010年8月心肺停止にて救急搬入された.既往に糖尿病,高血圧,虚血性心疾患の治療歴がありインスリン治療を受けていた.CPR施行しこの間簡易チェックにおける血糖値はHighを示し,血液ガスでは高度の代謝性アシドーシスと高カリウム血症を認めた.糖尿病性ケトアシドーシスと判断し,即Half salineの大量持続点滴を開始し,心拍再開を得た.心電図上広範囲にHigh voltage TとST上昇波形を認め,心エコー施行上は心尖部を中心に広範囲の高度壁運動低下を認めたことからタコツボ心筋症を疑った.虚血性心疾患の治療歴があることから,念のため緊急心臓カテーテル検査施行したが亜硝酸剤非使用下にcoronaryはspasmもなくintactであり,左室造影にてタコツボ心筋症が確認された.以上よりインスリン中断による代謝性アシドーシスと高カリウム血症が心肺停止の原因と診断,大量輸液治療を行い脱水改善と酸塩基平衡・ミネラルバランスの補正を得てvital signは安定し意識レベル清明となり抜管,心電図上のTenting Tも消失した.心エコー上タコツボ様壁運動は10日後にも遷延したが徐々に回復を認め,カテコラミン持続静注から離脱し,20日後には壁運動異常はほぼ消失した.アナムネーゼよりSick dayに伴い食事摂取をしなかったことからインスリン注射の自己中断を続けていたことが確認され診断の裏づけとなった.タコツボ心筋症は精神的・身体的ストレスが誘引になることが報告されており,糖尿病性ケトアシドーシスによる心肺停止に付随しタコツボ心筋症を発症した一例を認めたため報告する.