Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告1 脳梗塞・塞栓症・肺高血圧症

(S477)

治療効果をエコーにて観察しえた肺動脈性肺高血圧の一例

A case of pulmonary arterial hypertension with SLE assessed by echocardiography

石川 かおり1, 大森 浩二2, 土橋 浩章3, 亀田 智広3, 洲崎 賢太郎3, 中石 浩己1, 野口 早苗1, 多田 亜由1, 河野 雅和2, 藤田 準1

Kaori ISHIKAWA1, Koji OHMORI2, Hiroaki DOBASHI3, Tomohiro KAMEDA3, Kentaro SUSAKI3, Hiromi NAKAISHI1, Sanae NOGUCHI1, Ayu TADA1, Masakazu KOUNO2, Jun FUJITA1

1香川大学医学部附属病院検査部, 2香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科, 3香川大学内分泌代謝・血液・免疫・呼吸器内科

1Clinical Laboratory, Kagawa University Hospital, 2Department of Cardiorenal and Cerebrovascular Medicine, Kagawa University,Faculty of Medicine, 3Division of Endocrinology and Metabolism,Hematology,Rheumatology, and Respiratory Medicine,Department of Internal Medicine, Kagawa University,Faculty of Medicine

キーワード :

【背景】
肺動脈性肺高血圧患者,特に進行性の膠原病性の肺高血圧患者において,肺高血圧をいかに早期の段階で発見し,治療を開始するかが現在の課題といえる.近年,さまざまな心エコーの指標が新たに提唱され,右室の機能評価および肺高血圧患者の予後指標となりうるか議論されている.しかし,実際の患者において右室機能低下は長期に進行した状態で起こる状態であり,早期の指標とはなりにくい.そこで肺血管抵抗の増大を評価する鋭敏な指標が望まれる.われわれは,心臓超音波検査(心エコー)で,従来の三尖弁逆流,tricuspid annular plane systolic excursion(TAPSE),eccentricity index, effusion等の各種指標に加え,肺動脈弁輪速度を観察し肺血管抵抗の変化を心エコーにて評価しえたため,考察とともに報告する.
【症例】
29歳女性,11歳時に不明熱で発症,13歳にて蝶形紅斑と発疹・関節痛が出現し,SLEと診断され,プレドニンを開始した.24歳頃より皮膚症状の悪化や腎機能低下があり当院受診,腎生検にてループス腎炎Ⅳ型と診断され,ステロイドパルスを3クール施行し,以後免疫抑制剤(リツキサン)を開始した.2010年春頃より,労作時息切れが出現,心エコーでは肺高血圧の所見を認めていた.徐々に症状が悪化し,過度の労作時には意識低下を生じることがあり,精査加療のため入院紹介となった.
【入院後経過】
血液検査上は補体価正常,抗ds-DNA抗体陰性,血球減少なく,尿潜血・蛋白も出現しておらず,腎症の悪化はなかった.入院時の心エコーで推定肺動脈圧74mmHgと上昇しており,右心カテーテルでもPVR8〜9Wood単位と肺高血圧の悪化が示唆された.そのため,再度ステロイドパルス2クール施行し,ボセンタン・PGI2製剤の内服加療を開始した.治療により比較的速やかに肺動脈圧の低下が認められた.