Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告1 脳梗塞・塞栓症・肺高血圧症

(S477)

僧帽弁輪石灰化に浮動性massが認められた脳梗塞の一例

A case of cereberal infarction with mobile mass attached to mitral annular calcification

永井 知雄, 草野 浩幸, 濱部 晃, 小西 崇夫, 久留 秀樹, 吉田 尊, 田畑 博嗣, 上畑 昭美

Tomoo NAGAI, Hiroyuki KUSANO, Akira HAMABE, Tadao KONISI, Hideki HISADOME, Takasi YOSHIDA, Hiroyuki TABATA, Akimi UEHATA

自衛隊中央病院循環器内科

Cardiology, Japan Self Defense Forces Central Hospital

キーワード :

【症例】
80歳女性 [主訴] 視野狭窄  [既往歴] 糖尿病,狭心症,胃癌切除後,認知症[現病歴] 2010年7月12日より主訴出現.同日当院神経内科受診し,CT,MRIを行ったところ右後頭葉脳梗塞として入院となった.[身体所見]身体所見 意識は清明で,麻痺はなし.心雑音なく,肺野清で腹部平坦,圧痛なし.BP182/72mmHg,HR78bpm.
【検査】
WBC5126/mm3,Hb9.1g/dl,CRP0.1mg/dl,AST25U/l,ALT16U/l,CK134U/l.ECGは洞調律.
【経過】
心源性の塞栓症を疑い22日に経胸壁心エコーを行ったところ僧帽弁輪の著明な石灰化と弁輪部後交連側に付着した浮動性のmass(5mm大)を認めた.この所見は1年前の心エコーでは認められなかった.心腔内血栓を疑いワーファリンによる抗凝固療法を開始した.約1ヶ月後の再検査でもmassは変化せず,同様の所見を経食道心エコーでも確認された.血清プロテインC,プロテインS,抗カルジオライピン抗体は正常であった.
【結語】
僧帽弁輪石灰化は心臓脳卒中イベントの危険因子であるが,直接的な病因となるかについては議論が分かれる.本症例では脳梗塞の発症に際して,僧帽弁輪石灰化に新たに浮動性のmassの付着が出現しており,脳梗塞の発症に僧帽弁輪石灰化が直接関与した可能性が示唆された.