Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告1 脳梗塞・塞栓症・肺高血圧症

(S476)

卵円孔に捕捉された血栓を認めた血栓性脳梗塞と肺塞栓の一例

A case of thromboembolic cerebral infarction and pulmonary embolism with thrombus trapped across foramen ovale

大西 紀之1, 佐伯 茉紀1, 青木 美由紀1, 長屋 麻紀1, 平沢 弘行1, 高田 義明1, 山田 新尚1, 広瀬 武司2, 野田 俊之2, 渡辺 佐知郎2

Noriyuki OHNISHI1, Maki SAEKI1, Miyuki AOKI1, Maki NAGAYA1, Hiroyuki HIRASAWA1, Yoshiaki TAKADA1, Yoshitaka YAMADA1, Takeshi HIROSE2, Toshiyuki NODA2, Sachiro WATANABE2

1岐阜県総合医療センター臨床検査科, 2岐阜県総合医療センター循環器内科

1Clinical Laboratory, Gifu Prefectural General Medical Center, 2Cardiovascular Internal Medicine, Gifu Prefectural General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
脳梗塞治療中に肺塞栓症を発症し,経胸壁心エコーにて卵円孔に血栓が捕捉されている症例を経験したので報告する.
【症例】
66歳女性.2009年9月13日右中大脳動脈領域の脳梗塞発症し,当院脳外科入院.入院後もSpO2低下を認めていた.10月10日夕方より突然の呼吸苦が出現しSpO280%程度まで低下,胸部造影CTにて両側肺塞栓症を認め,循環器科に転科となる.10月13日塞栓源の検索目的で経胸壁心エコー検査を施行したところ,卵円孔に捕捉された可動性に富む紐状の血栓を認めた.拡張期には三尖弁を超え右室内にまで達し,卵円孔を通じ左房内にも認めた.右心系の拡大及び肺動脈圧の上昇(三尖弁圧較差66mmHg)を認め,拡張期から収縮期にわたって左室の扁平化を認めた.同時に行った下肢静脈エコーで右浅大腿静脈下部から膝窩静脈にかけて可動性を有する血栓を認めた.脳梗塞発症1カ月であり手術のリスクは非常に高いと考えられたが,さらなる脳梗塞・肺塞栓の危険性を考慮し,IVCフィルターを留置の上で緊急手術(心房内血栓除去術,肺動脈塞栓除去術,卵円孔閉鎖術)となった.
【考察】
今症例は慢性の無症候性肺塞栓症を背景に右房圧が上昇,卵円孔を通じて奇異性脳梗塞を発症したものと考えられた.下肢静脈血栓の存在部位が麻痺側ではなく健側であるため,何らかの凝固・線溶異常の可能性も考えられたが,確定診断には至らなかった.
【まとめ】
経胸壁心エコーで卵円孔に捕捉された血栓が明瞭に観察できた症例を経験したので報告した.