Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:症例報告1 脳梗塞・塞栓症・肺高血圧症

(S476)

卵円孔に血栓が陥入した急性肺動脈血栓症の一例

A case of thrombus through a patent foramen ovale complicated by acute pulmonary thromboembolism

三好 達也1, 田中 秀和1, 金子 明弘1, 辻 隆之1, 漁 恵子1, 山脇 康平1, 松本 賢亮1, 大北 裕2, 平田 健一1, 川合 宏哉1

Tatsuya MIYOSHI1, Hidekazu TANAKA1, Akihiro KANEKO1, Takayuki TSUJI1, Keiko RYOU1, Kouhei YAMAWAKI1, Kensuke MATSUMOTO1, Hiroshi OOKITA2, Kennichi HIRATA1, Hiroya KAWAI1

1神戸大学大学院 医学研究科循環器内科学分野, 2神戸大学大学院 医学研究科心臓血管外科学分野

1Division of Cardiovascular Medicine, Department of Internal Medicine, Kobe University Graduate School of Medicine, 2Division of Cardiovascular Surgery, Kobe University Graduate School of Medicine

キーワード :

症例は66歳女性.2010年3月11日より労作時呼吸困難と前胸部圧迫感が出現し,3月13日朝に一過性意識消失を認めたため近医の救急外来を受診した.経胸壁心エコー図検査にて右室拡大と肺動脈圧の上昇を認め,また造影CTにて下肢静脈と肺動脈内に血栓を認めた.急性肺血栓塞栓症と診断され,ヘパリンの投与を開始するとともに,同日当院に緊急搬送となった.当院来院時の経胸壁心エコー図検査では,右心系の拡大と心室中隔の扁平化を認めた.三尖弁逆流から計測された肺動脈-右室圧較差は53mmHgであった.また左房内に可動性のある異常構造物が観察されたため,経食道心エコー図検査を施行したところ,卵円孔を通じて左房と右房に可動性のある有茎性腫瘤を認めた.血栓飛散の危険性があったため,開胸手術を施行した.術中所見では,両心房内に血栓は認めなかったが,左肺動脈内に術前CTよりも多量の新鮮血栓を確認した.また,3×4mmの卵円孔開存も認めたために,肺動脈血栓摘除術ならびに卵円孔閉鎖術を施行し手術を終了した.術後,奇異性の血栓塞栓症の有無を確認するため,造影CTを行ったところ,左腎梗塞を認めた.しかし,その他の塞栓所見は認めず経過は良好であった.卵円孔開存を有する急性肺血栓塞栓症例では,静脈系の血栓により,卵円孔開存を介して奇異性塞栓を発症することがあるため,肺血栓塞栓症での心エコー図検査の際には,右心系のみならず,左房内血栓や卵円孔開存の検索が重要である.