Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
循環器:装置・薬

(S474)

1心拍3D経胸壁心エコーにおける局所容量解析の実際

Regional wall motion analysis by One beat three dimensional transthoracic echocardiography

水野 篤, 新沼 廣幸

Atsushi MIZUNO, Hiroyuki NIINUMA

聖路加国際病院循環器内科

Department of Cardiology, St.lukes International Hospital

キーワード :

1心拍3D経胸壁心エコーが普及しているが,左室全体の容積における解析がようやく進んできている中,左室のにおける局所壁運動評価の妥当性を検討する研究はまだない.
【目的】
まず正常例において16分画での解析で局所容積変化の最低値の定義を作成.そのデータを心臓MRIと比較した心機能低下症例にあてはめた場合の診断の妥当性の検討を行う.
【方法1】
2010年10月より2010年12月の期間のうち,8症例の正常男性ボランティアを対象に心臓MRIおよび1心拍3D経胸壁心エコー(Siemens社製SC2000)を施行.心臓MRIで器質的病変がないことを確認し,壁運動が局所異常がないことを確認.1心拍3D経胸壁心エコーは左室容量変化を16分画下でWorkstation上での自動解析を行った.自動解析結果の局所間比較はKruskal Wallis検定を用いた.
【方法2】
自動解析値の左室容量変化率最低値を正常下限の定義として,心臓MRIを行った器質的心疾患を疑わられる症例に対して解析を行った.対象は2010年11月から12月までに心臓MRIと1心拍3D経胸壁心エコーを行った男性患者12名(急性心筋梗塞5名,拡張型心筋症様3名,異常なし2名,陳旧性心筋梗塞2名).左室容量変化を先ほど定義した正常下限をcut offとして異常部位を同定.異常部位を冠動脈潅流域(前下行枝,右冠動脈,回旋枝)に分類し,それぞれ2か所以上の異常部位がある場合をその潅流域の異常と診断.診断能を求めた.
【結果1】
正常男性ボランティアの左室容量変化率を16分画で求め,局所において極端に測定が悪い部分があるかをKruskal Wallis検定を用いたが,p=0.27であり局所間の差は有意ではなかった.解析は比較的均一に測定できており,一部分のみ悪いということはないと考えられた.
【結果2】
1心拍3D経胸壁心エコーでは,前下行枝領域の異常:7名,回旋枝領域の異常 :4名,右冠動脈領域の異常:3名,3領域すべての異常は3名.心臓MRIでは前下行枝領域の異常:6名,回旋枝領域の異常 :4名,右冠動脈領域の異常:4名,3領域すべての異常は3名であった.MRIとの解離をみとめたものは3症例で,1つ目は急性下壁心筋梗塞症例の患者での下壁の壁運動低下が1心拍3D心エコーで同定されず,前下行枝領域の壁運動異常としてとらえられていた以外は良好な診断能を得た.
【考察】
1心拍3D経胸壁心エコーでの局所壁運動異常の同定は左室容量変化率を用いることで比較的容易に診断可能であるが,下壁梗塞などではやや同定率が悪くなる可能性が示唆された.Limitationとしては,症例数が少ないため,症例数を増やして,今後の再度検討が必要である.