Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
基礎:基礎1

(S463)

中空光ファイバを用いた光音響イメージングと光音響効果の色依存性

Photoacoustic imaging with hollow optical fiber and its color dependence

小池 秀幸1, 熊谷 和敏1, 和泉 拓哉1, 三井田 佑輔1, 穂積 直裕2, 松浦 祐司1, 西條 芳文1

Hideyuki KOIKE1, Kazutoshi KUMAGAI1, Takuya IZUMI1, Yusuke MIIDA1, Naohiro HOZUMI2, Yuji MATSUURA1, Yoshifumi SAIJO1

1東北大学大学院医工学研究科, 2愛知工業大学工学部電気学科

1Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Department of Electrical Engineering, Aichi Institute of Technology

キーワード :

【目的】
ナノ秒パルスのレーザ光を生体組織に照射し超音波信号を励起する光音響イメージングは,原理的には,光を用いたイメージングよりも深達度が高く,超音波を用いたイメージングよりも空間分解能が高い.また,光あるいは超音波を単独で用いた従来のモダリティでは観察できなかった深部の血管新生を高分解能でイメージングできることが期待されている.本研究の目的は,中空光ファイバを用いた光音響顕微鏡を開発し,10色のフラットケーブルと赤・白色の2本のシリコンチューブの光音響イメージングを行い,対象物の色により光音響効果が異なることを,超音波イメージングとの対比により明らかにすることである.
【方法】
光音響顕微鏡は,光音響信号を励起するためのQスイッチNd:YAGレーザ,光の伝送路としての中空光ファイバ,光音響信号を受信する中心周波数50 MHzの凹面超音波振動子,増幅器,対象物を二次元走査するX-Y軸の自動ステージ,ステージコントローラ,レーザに発振トリガを与えるファンクションジェネレータ,A/Dコンバータから構成され,それらをWindows-PC上のLabVIEWプログラムで制御した.開発した光音響顕微鏡は160×160ピクセルから構成される8 mm四方の領域を50分以内でスキャンすることができる.レーザは出力~ 1 mJ,波長532 nm,パルス幅7 ns,断続周波数10 Hzとした.超音波イメージングでは中心周波数50 MHzの凹面超音波振動子で超音波を送受信した.
【結果】
10色のフラットケーブルの光音響イメージングでは励起光の緑からスペクトルが遠い赤,青から高い光音響信号が得られた.一方,スペクトルが緑から近い,黄,緑や白からの信号強度は,赤の半分以下であった.赤いケーブルからの信号強度を1と正規化したときに,各色の標準偏差を求めると,超音波信号強度の標準偏差は0.07とほとんど差がなかったが,光音響信号強度では標準偏差0.23と色に依存して光音響効果が異なることが示された.赤・白のシリコンチューブも超音波イメージングでは同様の信号強度であったが,光音響イメージングでは赤のチューブの信号強度が強かった.
【結論】
色の異なる対象物に対する光音響イメージングでは,対象物の光学特性によりコントラストが得られ,選択的にイメージングできることが確認された.