Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

ポスター
基礎:基礎1

(S462)

骨密度計測のための超音波干渉法を用いた穿刺型音響インピーダンス計測システムの開発

Development of Puncture Needle-Type Acoustic Impedance Measurement System for Bone Density Measurement by Ultrasonic Interference Method

吉澤 昌純1, 山本 哲也1, 入江 喬介2, 3, 守屋 正4, 伊東 紘一5

Masasumi YOSHIZAWA1, Tetsuya YAMAMOTO1, Takasuke IRIE2, 3, Tadashi MORIYA4, Kouichi ITOH5

1東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科, 2首都大学東京大学院システムデザイン研究科, 3マイクロソニック株式会社, 4首都大学東京名誉教授, 5常陸大宮済生会病院内科

1Monozukuri Department, Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, 2Graduate School of System Design, Tokyou Metropolitan University, 3Microsonic co., ltd., 4Emeritus, Department of Electrical Engineering, Tokyou Metropolitan University, 5Department of internal medicine, Hitachi-Omiya Saiseikai Hospital

キーワード :

【はじめに】
高齢者等が豊かな生活を行うのには膝等の関節の機能維持が重要となる.このため,疾患に対する術後,軟骨の回復度合いを計測する手法の確立が必要である.これまで,我々は,超音波干渉法により反射法を基本とした骨の音響インピーダンス計測法により骨密度計測のための検討を行ってきた(1-3).一方,細径石英ファイバーを超音波伝送路およびセンサとして使用する穿刺型超音波顕微鏡の開発を行っている(4-7).本研究は,これらを組み合わせて,低侵襲の骨の診断システムを開発するのが最終目的である.今回,干渉法を用いた穿刺型の音響インピーダンス計測システムを試作し,ファントムを用いて検討を行ったので報告する.
【原理】
超音波伝送線路(石英ファイバー)内に平面超音波を伝搬させ,ファイバー端面と音響カプラとの境界面からの反射信号と,音響カプラと計測対象の境界?からの反射信号とを干渉させて,音響カプラの厚さを変化させたときの干渉パターンから,計測対象の音響インピーダンスを計測する.生体内では音響カプラとして生体軟部組織,計測対象を骨として,計測を行う.石英ファイバーを内挿した穿刺針を計測部位に刺し,計測対象の骨に近づいた段階で石英ファイバーを針より押し出して,骨表面に押し付ける.押し当てる圧力を変化させ,骨表面の軟部組織厚を変化させることにより干渉パターンを得る.
【計測】
穿刺型を想定して,先端を斜めにカットした中空のアルミパイプ中に被覆を外した直径1.2mmの石英ファイバーを挿入し,計測システムを試作した.石英ファイバーの両端は平面に研磨し,一端に中心周波数7MHzの探触子を付け,振幅10Vのバースト波で励振した.他端より超音波を照射し,上記原理に基づいて計測を行った.測定対象には,軟部組織のファントムとして,オイルゼリー(油分を含有した可塑剤),骨を想定してハイドロキシアパタイトペレット(発泡率0%,50%)を用いた.
【結果と考察】
試作したシステムを用いてファントムの音響インピーダンス計測を試みた.その結果では,発泡率0%と50%での音響インピーダンスの分布に違いがあり,両者が識別できる可能性が確認された.しかし,試作システムでは,ファントムから反射信号が小さく,充分なS/Nが得られていない.また,アルミパイプ中に挿入した石英ファイバーとアルミパイプの間に音響カプラである水が入るため,計測データのばらつきが大きく,数値での評価ができていない段階である.今後,インピーダンス変換層を設ける手法を用いてS/Nを向上し,石英ファイバーをカプセル状に封入して音響カプラの影響を受けない構造とし,計測を行う予定である.
【文献】
1)M. Yoshizawa, Y. Nakamura, M. Ishiguro, and T. Moriya: Jpn. J. Appl. Phys. 46 (2007) 4868.
2)M. Yoshizawa, T. Irie, K. Itoh, and T. Moriya: Jpn. J. Appl. Phys. 47 (2008) 4176.
3)吉澤昌純,他.J Med Ultrasonics Vol.36 Supplement.S295 (2009).
4)M. Yoshizawa, T. Irie, K. Itoh, and T. Moriya: Jpn. J. Appl. Phys. 49 (2010) 07HF03.