Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
整形外科:運動器

(S458)

上腕骨離断性骨軟骨炎(OCD)の超音波による分類-第2報-

Staging of Capitellum Osteochondrosis by Ultrasonography

石崎 一穂1, 高松 晃2, 岡田 知佐子2, 柏口 新二2

Kazuho ISHIZAKI1, Akira TAKAMATU2, Chisako OKADA2, Shinji KASHIWAGUCHI2

1東京厚生年金病院中央検査室, 2東京厚生年金病院整形外科

1Central Clinical Laboratory, Tokyo Kousei-nenkin Hospital, 2Orthopaedic Surgery, Tokyo Kousei-nenkin Hospital

キーワード :

【目的】
2009年の本学会で上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(OCD)の超音波による病期分類について報告した.しかし,保存療法中の変化において,修復しているにもかかわらず,病期分類上ステップアップしてしまう症例などの不都合が見られた.今回我々は,発見だけではなく経過観察においても,OCDの変化を的確に評価できる分類に改訂したので報告する.
【方法】
対象は2006年12月から2010年12月まで本院スポーツ整形外科外来に受診したOCD患者,男児47名,年齢9〜15と,院内外での野球検診受診者77名,年齢10〜12とした.改訂のポイントは,検診で散見される微細な軟骨下骨の異常像と修復過程での病巣の変化から,離断する以前の早期の分類を再考して作成した.検査装置は,院内での検査に際しては,東芝社AplioおよびXarioを,院外ではGEヘルスケア社製Venueを使用し,いずれもプローブは8MHzリニア型を使用した.
【観察方法と観察ポイント】
観察は,伸展位における上腕骨小頭の長軸像と短軸像,最大屈曲位による上腕骨小頭の長軸像と短軸像とした.小頭障害部の評価は,軟骨下骨表面像と皮質線状高輝度エコーエコー輝度と厚み,海綿骨の性状,障害部分の海綿骨と正常の海綿骨の境界に出現する線状高エコー像(ダブルライン)によって行った.軟骨内での骨片の分離は,後方から長軸像を観察しながら,肘関節の屈曲伸展をゆっくりと繰り返し軟骨下骨の動きから判断した.軟骨ごと離断し関節内に遊離した骨片の観察は,上記のアプローチに加え,最大屈曲位後方から滑車と肘頭窩も観察した.
【結果】
1分類Stageを4型に分類し(大分類)更にそれぞれのstageを細かく分類した(細分類).stageS:障害が軟骨下骨皮質にとどまり,その1回の画像だけでは,離断性骨軟骨炎の初期の変化か,修復過程であるのか,修復完了後の残存した変形かの判断ができないものとした.細分類は,stageSa:表面不整像,stageSb:嚢胞状の変化,stageSc:表面不連続とした.stageⅠ:障害が海綿骨まで及んでいる場合で,超音波上も離断性骨軟骨炎と診断できるものとした.細分類は,stageⅠa:軟骨下骨不整像・海綿骨低エコー不均質,ダブルライン不明瞭像,stageⅠc:軟骨下骨不整像か不連続・海綿骨無エコー均質,ダブルライン明瞭像,stageⅠbはその中間像とした.stageⅡ:障害部分が母床から分離しているが,骨片が軟骨内に納まっているものとした.細分類は,stageⅡa:大きな骨片1枚,stageⅡb:細かい骨片複数とした.StageⅢ:障害部分が母床から軟骨ごと分離し,関節内に遊離しているものとした.細分類は,stageⅢa:大きな骨片1枚,stageⅢb:細かい骨片複数とした.2分類改訂による改善点検診で散見される,軟骨下骨の小さな嚢胞性病変を分類することが可能になった.障害の修復と相反する分類上の進行が改善された.
【考察】
今回,OCD超音波分類の改訂を行った.超音波上軟骨下骨に限局する異常像をstageSとして新たに加え,大分類を3型から4型に変更することで,嚢胞性病変のようなOCDと判断し得ない病態や完治直前の軟骨下骨皮質の不連続像を的確に分類することが可能になり,診断と経過観察に適した分類に改訂できたと考える.