金澤 真作¹, 三塚 幸夫², 緒方 秀昭¹, 馬越 俊輔¹, 齊藤 芙美¹, 密田 亜希³, 羽鳥 努³, 白神 伸之⁴, 渋谷 和俊³, 金子 弘真¹

Shinsaku KANAZAWA¹, Yukio MITSUZUKA², Hideaki OGATA¹, Syunsuke MAGOSHI¹, Fumi SAITO¹, Aki MITSUDA³, Tsutomu HATORI³, Nobuyuki SHIRAGA⁴, Kazutoshi SHIBUYA³, Hironori KANEKO¹

¹東邦大学医学部一般・消化器外科, ²東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部, ³東邦大学医療センター大森病院病院病理部, ⁴東邦大学医療センター大森病院放射線診断部

¹Division of general and gastroenterologiacl surgery, Department of Surgery （Omori）, Toho University School of Medicine, ²Department of clinical functional physiology, Toho University Medical Center Omori Hospital, ³Department of pathology, Toho University Medical Center Omori Hospital, ⁴Department of radiology, Toho University Medical Center Omori Hospital

キーワード :

【目的】
我々は，院内委員会の承認のもと被験者へ文書によるインフォームドコンセントを行い，乳腺疾患に超音波（US）に加え第2世代超音波造影剤Sonazoidを用いた造影超音波（CEUS）を行っている．乳腺に対するCEUSでは，正常乳腺が高輝度に描出され，周囲乳腺と造影剤のバブルの信号とを肉眼的に区別することが困難となる．一方，乳腺病変の多くは内部低エコーでバブルの信号を明瞭にとらえることが可能である．しかし，B-modeで病変としてとらえられる低エコー部の周囲にも病変が広がっている場合にバブルの信号がとらえ難くなる．この状況にたいして，正常乳腺の組織信号を抑制してバブルの信号をより特異的に拾い上げる工夫が進んでいる．今回，正常乳腺を抑制するモード（抑制モード）を併用したCEUSを行った症例で，B-modeとCEUSを比較して周囲乳腺の組織信号を抑制することの重要性を検討した．
【方法】
超音波装置はaplio XG（東芝メディカルシステムズ社製），探触子は高周波リニアプローブ（PLT-805AT）を用い，Pulse Subtraction low MI mode（非抑制モード）とMicro Flow Imageに加え，正常乳腺の組織信号を抑制するmodeを併用して観察した．正常乳腺の組織信号が抑制された状態では，造影画面のみで観察すると目的病変の確認が困難になる場合があった．そのため検査時には，画面左に造影画像，画面右にモニタとしてB-mode画像を表示して観察した．また，必要に応じてモニタ画面にB-modeと造影画像を重ねて表示した．Sonazoidは，懸濁液として0.0075 ml/kgを静脈内投与し10mlの生理食塩水で1ml/ 1secの速さでフラッシュした．
【結果】
低エコーの腫瘍内部には，抑制モードでも非抑制モードと同様に鮮明な染影の描出が可能であった．非抑制モードで確認が困難な病変周囲の染影は，抑制モードでは鮮明に描出され，モニタ画面との比較やモニタ画面にB-modeと造影画像を重ねて表示することにより用意に病変と染影の関連を認識可能であった．同時に，病変に流入する血管を描出することも可能であった．また抑制モードでは，乳管と併走する血管からの分枝が乳管を貫いて乳管内病変へ達する様子も観察可能であった．
【結論】
造影超音波は乳腺疾患に対しても有用な検査であるが，組織信号を抑制することにより詳細な観察が可能になった．乳腺造影超音波において組織信号を抑制することは重要である．