Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
体表・表在:体表・組織弾性

(S450)

リンパ節のエラストグラムの画像の変化を読む

The interpretation of changing elastography of lymph nodes

吉岡 二三1, 2, 田中 幸子1, 高倉 玲奈1, 井岡 達也1, 高野 保名1, 松野 徳視3, 宮崎 さや子3, 三栖 弘三3, 福田 順子1, 仲尾 美穂1

Fumi YOSHIOKA1, 2, Sachiko TANAKA1, Rena TAKAKURA1, Tatsuya IOKA1, Yasuna TAKANO1, Noritoshi MATSUNO3, Sayako MIYAZAKI3, Kouzou MISU3, Jyunko FUKUDA1, Miho NAKAO1

1大阪府立成人病センター検診部, 2河内総合病院内科, 3大阪府立成人病センター臨床検査部

1Dept Clinical Laboratory, Osaka Medical Center for Cancer and CVD, 2Internal medicine, Kawati general Hospital, 3Dept Clinical Laboratory, Osaka Medical Center for Cancer and CVD

キーワード :

【初めに】
乳腺甲状腺の腫瘍性病変に対するエラストグラフィ(エラスト)の有用性は認められているが,頚部領域や腹腔内のリンパ節の評価は確立していない.弱い圧迫がよいとされるが,腹部領域では圧迫して消化管のガスをしりぞけることが多い.各々の臓器の圧力のかかり方による歪み方の相違などで,エラストの画像は変化する.手による圧迫,血管拍動,呼吸変動,その他の生体の動きと連動してエラスト画像が形成されるため,圧迫下の各組織のエラストでの描出のされ方を知らなければ,再現性のない画像としかとらえられない.我々の検討では,悪性リンパ腫のリンパ節腫大はやわらかいので,エラストでは,様々な要因により,様々に描出される.多彩なエラスト像が特徴といえるが,再現性を持って診断するためには,エラスト画像を評価する必要がある.アーティファクトと呼んでよいかもしれない画像も含めて,変化する画像の特徴を知ることは,きわめて重要である.頚部の正常構造物のエラスト画像から,探触子で大小の圧力と大きな動きや微細な動き与えることで,同じ構造物のエラスト画像が全く異なって描出されることが分かった.癌のリンパ節転移では,動きが限定されるため病変以外の要因の影響が分かりにくい.エラスト画像を評価することを目的として,体表リンパ節で様々な動きを与えて検討した.体表と同様の評価が腹部リンパ節にも当てはまる可能性があるので併せて報告する.
【対象】
対象は悪性リンパ腫リンパ節腫大15例(うちリンパ節浸潤確定例は4例),完全寛解例32例,リンパ節転移例4例.エラスト画像の検討項目は①各組織,血管などへの振動の与え方での画像の相違 ②各組織,血管などがお互いに接着しているか,接しているか,血管が上下左右に存在するかなどの相互関係である.
【結果】
悪性リンパ腫のエラストでは,再発例も腫大例も寛解例もエラストの画像は基本的には同じであった.軽く圧迫して微細に動かすとリンパ節と周囲との固さの違いがはっきり描出されるが,背側に血管などがあり組織がひずみやすい場合は,相対的にリンパ節が青く(固く)描出されることがあるので,その時はすこし大きく動かして画像の変化を確認する必要がある.悪性リンパ腫の腹部のリンパ節のエラスト画像においても同様の結果であった.
【結論】
エラストの様々な画像を評価することで,複合的な構造中でも固さが診断できる可能性があると思われた.