Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
泌尿器:腎・泌尿器

(S444)

メッシュを用いた性器脱手術後の腹圧性尿失禁・膀胱瘤発生とメッシュ位置の関係

Perineal ultrasound for assessment of mesh placement after transvaginal mesh surgery for repair of pelvic organ prolapse

西林 学

Manabu NISHIBAYASHI

埼玉医科大学産科婦人科

Dept. of OB/GY, Saitama Medical University

キーワード :

【目的】
性器脱に対しanterior tension-free vaginal mesh (a-TVM)を施行した症例を経会陰超音波(PUS)で観察し,術後の腹圧性尿失禁(SUI)・膀胱瘤発生とメッシュの位置との関係を明らかにする.
【対象と方法】
2006年10月から2010年8月までに当科で行われた a-TVM症例(posterior TVM同時施行例およびcombined TVMを含む)128例について,術後6ヶ月の時点で安静時のメッシュの長さ,怒責時のメッシュ下端と尿道との位置関係,怒責時のメッシュ下端と恥骨下縁との距離(pubis-mesh gap; p-m gap)をPUSを用いて観察した.また骨盤臓器脱再発の程度をBaden-Walker’s scoreで評価し,2点以上を再発とした.さらに尿失禁の有無を質問表ICIQ-SFを用いて調べた.解析にはWelch’s t test,Mann-Whitney’s U test,Fisher’s exact testを用い,p<0.05を統計的に有意とした.
【結果】
年齢66.3±7.5(mean±SD)歳,経産回数2.2±0.7.術前にSUIを合併した69症例のうち,SUIが術前と同じあるいは増悪した37例は,術後に改善あるいは消失した32例と比較して,怒責時にメッシュ下端が尿道中部に存在しない割合が高く(32.4% vs. 5.8%, p=0.038),p-m gapが長かった(21.1±6.5mm vs. 15.0±6.3mm, p=0.035).また術前にSUIを合併しなかった59症例のうち,de-novo SUIを生じた18例では,術後もSUIがない41例と比較して怒責時にメッシュ下端が尿道中部に存在しない割合が高く(50% vs. 19.5%, p=0.028),p-m gapが長かった(23.0±4.9mm vs. 18.5±4.3mm, p=0.041).しかし各群におけるメッシュの長さには有意差を認めなかった.一方,128例のうち膀胱瘤発生を認めた6例では,膀胱瘤を認めなかった122例と比較して,怒責時にメッシュ下端が中部尿道に存在しない割合が高く(66.7% vs. 25.4%, p=0.047),p-m gapが長かった(median 28.4mm vs. 18.4mm, p=0.035).しかし両群におけるメッシュの長さには有意差を認めなかった.
【結論】
メッシュの位置と術後SUI・膀胱瘤発生には関連がある.一方,メッシュの長さと術後SUI・膀胱瘤発生には関連がない.