Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
泌尿器:腎・泌尿器

(S443)

真の系統的前立腺生検を目指して-GPS機能を用いた経直腸超音波ガイド下生検

Aim at the true systematic prostate biopsy using a GPS function

関口 隆三1, 黒木 嘉典1, 川島 清隆2, 新保 正貴2, 稲葉 裕之2

Ryuzo SEKIGUCHI1, Yoshifumi KUROKI1, Kiyotaka KAWASHIMA2, Masaki SHINBO2, Hiroyuki INABA2

1栃木県立がんセンター画像診断部, 2栃木県立がんセンター泌尿器科

1Tochigi Cancer Center, Division of Diagnostic Imaging, 2Tochigi Cancer Center, Division of Urology

キーワード :

【はじめに】
画像診断の進歩した今日においても,前立腺がん確定診断のGolden standardは前立腺生検である.前立腺生検は,経直腸超音波ガイド下に『系統的生検』として行っている施設が多いが,そこには超音波の弱点である術者依存性が介在することも事実で,真の『系統的』な生検となっていない可能性が指摘されている.今回我々は位置センサーを装備した超音波装置を経直腸前立腺生検に用い,検査前に得られたMRI画像や超音波画像との同期表示および生検ポイントの重ね合わせ表示等を行い,系統的生検時の支援機能および生検部位の空間的評価への有用性について検討した.
【対象】
対象は,2010年9月3日から8日までに,当院にて経直腸超音波ガイド下前立腺生検を行った6例-3例はIMRT後,3例はPSA高値-である.平均年齢は58.4歳,生検前PSA値は2.4〜748205 ng/mLである.
【方法】
用いた診断装置はLogiqE9.術前に撮像されたMRI画像(T2強調画像および拡散強調画像)や生検直前に記録した超音波画像を生検時の超音波画像と同期表示または重ね合わせ表示させ,経直腸前立腺生検を行った.生検時には各生検部位の刺入点と穿刺先端の2点にGPSマーカーをプロットし,これらの点は各画像に重ね合わせ表示させ,空間的にどの部位を穿刺したか分かるように表示した(図右:MRIのT2強調画像と拡散強調画像の重ね合わせ表示.図左:生検時の超音波画像.生検点は+や□で表示.+は空間的にほぼ同一点.空間的に離れれば離れるほど□の大きさが大きく表示).また穿刺ルートの三次元再構成を行い,生検部位の空間的拡がりについて評価した.
【結論】
MRI画像との同期表示は,MRIで病変が疑われた部位の狙撃生検に有用で,特に尿道近傍病変の生検に役立つと考えられた.GPSマーカーによる生検部位のリアルタイム表示は術者への穿刺部位の認識度が高まり,より精度の高い系統的生検支援ツールとして有用と思われた.穿刺ルートの三次元再構成では,生検部位空間的な拡がりが認識でき,術者の生検手技へのfeedbackおよび生検結果との照らし合わせによる癌の空間的拡がりの認識が可能であった.
【まとめ】
位置センサー機能を用いた超音波ガイド下による生検は,術者へのfeedbackが生検時に行われ,より確実な系統的生検を可能とすることが期待される.