Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児心臓

(S440)

Dual dopplerを用いた肝静脈-下行大動脈血流波形による胎児房室伝導時間の検討

Assesment of fetal atrioventicular time intervals by dual doppler echocardiography

加地 剛, 前田 和寿, 須藤 真功, 佐藤 美紀, 苛原 稔

Takashi KAJI, Kazuhisa MAEDA, Masanori SUTO, Miki SATO, Minoru IRAHARA

徳島大学病院周産母子センター

Department of Obstetrics &Gynecology, Tokushima University Hopital

キーワード :

【目的】
Dual dopplerは同時に2カ所のパルスドプラ測定を可能とする方法で,同一画面上の任意の2点における血流計測が可能である.今回我々はdual dopplerを用いて肝静脈(HV)と下行大動脈(DAo)の同時計測による胎児房室伝導時間を測定したので報告する
【方法】
(研究1)妊娠19週〜40週の正常胎児 103例を対象としdual dopplerにて房室伝導時間を測定した.横断面にてHVが下大静脈に合流する部位を描出し,HVの下大静脈への合流部とDAoにそれぞれサンプルボリュームを置きHVおよびDAoの血流波形を同時に記録した.HVの血流波形より心房収縮波(a波)を,DAo血流波形よりDAo血流波(V波)を同定し,a波の開始からV波の開始点までの時間を房室伝導時間として測定した.超音波装置は日立メディコ社製 EUB 7500およびPreirusを用い,連続した3波形から測定した値の平均値を用いた.
(研究2) 妊娠25週〜36週の正常胎児 20例を対象とし,まず研究1同様にdual Doppler (HV-DAo法)にて房室伝導時間を測定した.次に通常のパルスドプラにより上大静脈-上行大動脈同時計測法(SVC-Ao法)から房室伝導時間を測定した.
【成績】
(研究1)房室伝導時間の平均値は134.2±15.8 msであった.房室伝導時間は妊娠週数と有意な正の相関(y=1.4255x+88.802 r=0.530 P<0.0001)を認め,心拍数で補正後も有意であった.
(研究2)房室伝導時間の平均値はHV-DAo法: 128.3 ms,SVC-Ao法:121.6で正の相関(y=0.6997x+43.875 r=0.789 P<0.01)を認めた
【結論】
dual dopplerを用いたHVとDAoの同時計測(HV-DAo法)により房室伝導時間は計測可能であった.HV-DAo法では横断面でa波,V波の容易に描出が可能となり,より簡便に不整脈の評価が可能となる.HV-DAo法は新しい胎児不整脈の評価方法として期待される.