Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
産婦人科:症例

(S438)

胎児大血管・心臓異常における超音波3D・4D表示の有用性について

Utility of 3D/4D ultrasonographic images in fetal cardiovascular anomalies

石原 とも子, 青木 昭和, 中山 健太郎, 宮崎 康二

Tomoko ISHIHARA, Showa AOKI, Kentaroh NAKAYAMA, Kohji MIYAZAKI

島根大学医学部産科婦人科

Obstetrics and Gynecology, Shimane University Faculty of Medicine

キーワード :

胎児心疾患において形態学的異常を立体的に把握することは,病態を理解する上でも非常に重要である.今回我々は最近1年間に経験した胎児心疾患の内,主なものに超音波3D・4D表示を試み,その有効性を検討した.
【対象】
正常症例および純型肺動脈閉鎖症,左心低形成症候群,大動脈離断(タイプB)の各1例を対象とした.
【方法】
最初に通常の2次元表示の超音波断層法にて対象患者の診断を試み,次にSTIC法にて心臓・大血管の画像データーを取り込んだ後,3D, 4D表示,さらにinversion modeにて3D画像構築を行った.超音波診断装置はVolusonE8 Expert(GE横河メディカルシステム)を使用した.
【結果】
作像には技術的な要領はあるものの,相応する2次元画像を描出し,それを立体的に膨らませていくことで周囲との関係も明瞭に把握できる立体画像が得られた.症例1:左心低形成症候群(36週).4D画像により僧帽弁口の著明な狭小化と三尖弁の動きが明瞭に捉えられた.また,inversion3D画像では拡張した主肺動脈と動脈管,さらに右肺動脈に隣接して狭小化した大動脈アーチが走行しているのを,立体的に把握できた(図a).症例2:純型肺動脈閉鎖,多脾症(29週).2次元画像では収縮期に閉鎖しているように見えた房室弁が,3Dでは明らかに開いているのが明瞭に把握できた(図b).inversion3D画像では,拡張した大動脈アーチから動脈管を介して左右肺動脈への血流ルートが1画面で明瞭に表示でき,その把握に有用であった(図c).症例3:大動脈弓離断(type B),18トリソミー(33週).three-vessel tracheal viewでは大動脈弓離断疑いはでは判断できたが,arch vesselとの関係が把握しきれず,矢状断面で大動脈弓の走行を辿りながら離断部位の推定を行うのみであった.inversion3D画像の構築により,離断部位が1画面で明瞭に描出され,type Bと容易に診断できた(図d).
【結語】
今回,症例は少ないものの,胎児心疾患における心内構造,大血管の走行状態の描出に超音波3D・4D表示を試みた.本法は,胎児心疾患における立体的な状態の把握と診断に有用な情報をもたらすと思われた.