森 信博, 藤原 圭紀, 石橋 めぐみ, 桑村 英里, 花岡 有為子, 金西 賢治, 田中 宏和, 柳原 敏宏, 秦 利之

Nobuhiro MORI, Tamaki FUJIWARA, Megumi ISHIBASHI, Eri KUWAMURA, Uiko HANAOKA, Kenji KANENISHI, Hirokazu TANAKA, Toshihiro YANAGIHARA, Toshiyuki HATA

香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学周産期科女性診療科

Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
3次元インバージョン法を用いて正常胎児，異常胎児における心臓以外の液体構造の評価
【方法】
妊娠16から38週の正常胎児6例，および異常胎児7例（全前脳胞症1例，水頭症1例，胎児水腫における両側胸水貯留1例，胎便性腹膜炎1例，水腎症1例，多嚢胞性異形成腎1例，左卵巣嚢腫1例）を対象とした．経腹的3次元インバージョン法を用い，液体貯溜の形態や他臓器との解剖学的な位置関係について検討した．
【結果】
3次元インバージョン法は視覚的に大きさや形を明瞭にするため検者が位置関係や液体貯溜の形状を理解しやすい．正常胎児では胃の個々の部位と蠕動運動を観察することができた．全前脳胞症では癒合した大脳半球が明瞭に描出できた．水頭症例では脳室の拡大が明らかになった．両側胸水貯留例では左右の胸水の関係や胸水の形状が描出できた．胎便性腹膜炎例では拡張した小腸と腹水を描出できた．水腎症例では拡張した腎盂を明瞭に描出できた．多嚢胞性異形成腎例では嚢胞の数と大きさとその位置関係が明瞭となった．卵巣嚢腫例では卵巣嚢腫と腎臓，胃，膀胱の解剖学的な位置関係が明瞭に理解できた．
【結論】
3次元インバージョン法は胎児における液体貯留構造の評価に有用である．本法により液体の形状や大きさと他の臓器との関係をよりわかりやすく理解することができた．