Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
産婦人科:分娩

(S433)

経会陰超音波による分娩進行の把握

Evaluation of transperineal ultrasound in transvaginal delivery

西村 和朗, 吉村 和晃, 蜂須賀 徹

Kazuaki NISHIMURA, Kazuaki YOSHIMURA, Toru HACHISUGA

産業医科大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, University of Occupational and Environmental Health

キーワード :

【目的】
分娩進行を監視するにあたり内診は欠かせないもので,産婦人科医としての必修項目である.しかし内診所見は主観的で検者により微妙な違いがあるため,習得する際に困難な場合がある.近年,経会陰超音波による骨盤底の評価法が確立されつつあり,経会陰スキャンで3Dボリュームデータを取り込むことにより,様々な断面を得られるようになった.今回我々は,この方法を用い児頭下降度や回旋を評価することにより,分娩進行を把握上で有用であるかを検証した.
【方法】
11人の単胎頭位分娩の妊婦において,分娩中の内診所見と,同時に施行した経会陰超音波のデータを,SonoVCAD labor(Sonography based Volume Computer Aided Display)を用いて解析し,関連を検討した.SonoVCAD laborは,3Dの経腹プローブを用いた経会陰スキャンでVolumeデータを収集し,分娩進行を経時的に描出する機能がある.まず1番に経過観察するためのランドマークとして恥骨の位置を合わせ,恥骨の長軸をスキャンし画像保存する.2番目に児頭蓋骨をトレースし,視覚的に児頭位置を示し,児頭の頭頂方向を角度で表示する.3番目に恥骨下端からの児頭の距離(児頭の進行)を示す.4番目に恥骨からの児頭先進部の角度を示す.また3Dスキャンを使用することによって児頭正中線を観察することが可能であり,経過観察することによって回旋を評価することが可能となる.上記の内容を3Dボリュームデータとして取得し,児頭の下降や回転などのパラメータを計測する.計測したデータは経時的に装置内に記録される.
【結果】
経会陰スキャン画像によって得られた恥骨からの児頭先進部の角度は,内診所見の児頭下降度と関連を認めた.また分娩進行過程による回旋の推移は画像で確認できた.しかし内診による子宮口開大は,スキャン画像で確認できなかった.
【考察】
経会陰超音波のスキャンデータから,児頭下降度と回旋の分娩進行を経時的・視覚的に観察することが可能である.超音波診断画像をもとにした客観的なデータは,分娩進行の児頭下降度と回旋において,有用であると考えられた.より確実な分娩進行を把握するために,経会陰超音波を使用した3Dボリュームデータは,今後臨床的・教育的に有用になる可能性がある.