Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:びまん性肝疾患4

(S427)

術中超音波探触子による肝硬度測定(Elastographical Liver-Kidney contrast)

Quantitative estimation of liver elasticity using intraoperative ultrasound probe (elastographical Liver-Kidney contrast)

佐野 圭二

Keiji SANO

帝京大学医学部外科学

Department of Surgery, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

【目的】
肝線維化を原因とする肝硬変は術後肝不全の最大の原因であるため,肝の硬度測定は非侵襲的な肝線維化評価,ひいては肝機能評価に寄与すると考えられるが,現時点での肝硬度計は特殊な機器を必要としている,ないしは超音波診断装置にあるelastographyは定性的な評価しかできない.今回われわれは術中超音波専用プローブを用いて肝臓と腎臓との硬度の比を測定することで肝硬度を定量的に評価することを試みた.
【対象】
2010年10月から12月までの3か月間で開腹肝切除を施行した11例を対象とした.うち正常肝が7例,肝内結石による慢性肝炎が1例,B型肝炎による慢性肝炎が2例であった.
【方法】
ALOKA社製α7を本体としマイクロコンベックス型術中超音波専用プローブを装着して肝/腎の硬度比を1症例につき5回測定した.最大値と最小値を省き,残り3回の平均をその症例の肝硬度とした.
【結果】
11例全例にて肝/腎比の測定が可能であった.全症例の肝/腎比の平均値が3.39であり,最大値6.25で最小値2.04であった.正常肝と慢性肝炎で有意な差は認められなかった.
【結論】
術中超音波専用プローブを用いて肝/腎比を比較することで肝実質の硬度を定量的に評価しえた.今後症例を重ねてその精度を検討していく必要があるが,術中に肝切除量を最終判断するうえで重要な要素となる可能性がある.