Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:びまん性肝疾患3

(S426)

Elastographyを用いたFontan術後肝硬変・肝繊維症合併診断の試み

The Feasibility of elastography on imaging of liverfibrosis/liver cirrhosis after Fontan procedure

渡辺 重朗, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 松井 彦郎, 井上 奈緒, 森 啓充, 森本 康子

Shigeo WATANABE, Satoshi YASUKOCHI, Kiyohiro TAKIGIKU, Hikoro MATSUI, Nao INOUE, Hiromitsu MORI, Yasuko MORIMOTO

長野県立こども病院循環器小児科

Pediatric Cardiology, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【背景】
Fontan術後遠隔期に肝うっ血による肝繊維症・肝硬変の合併があることが報告されるようになり,造影CTや血液学的な肝繊維マーカーによる肝硬変・肝繊維化の評価が試みられているがいまだ確立されたものはない.一方非侵襲的な超音波エコーによるreal-time tissue-elastography(RT-TE)による肝硬変評価法が提案され,その有用性が報告されるようになった.
【目的】
Fontan術後患者において肝繊維化および肝硬変合併評価におけるreal-time tissue elastographyのfeasibilityと有用性について検討すること.
【装置】
超音波診断装置はHI VISION Preirus(日立メディコ)で使用probeはEUPL52.
【対象】
対象はFontan術後患者10例(年齢3〜14歳,平均7.9歳):F群と対象群8例(4〜19才,平均11.3歳):C群.Fontan術後患者の原疾患の内訳は左心低形成症候群(5),房室中隔欠損(1),三尖弁閉鎖(1),肺動脈閉鎖(1),僧帽弁閉鎖(1)多脾症候群(1)であった.対象群の内訳は,いずれも中心静脈圧(CVP)上昇がない術前後の患者で動脈管か依存術後(2),心臓腫瘍(1),Noonan (1)などである.
【方法】
患者を仰臥位で膝を屈曲させて寝かせ,肋間から呼吸運動の影響が少ないタイミングで肝臓を描出した.左右の肝実質内の大血管が入らない実質部分にROIをおいてstrain elastogramを表示させてstrain histogramをもとめ,さらに肝炎staging indexであるLF indexを適用してその平均値を計算して比較した.
【結果】
LFindexはF群0.69±0.24,C群0.76±0.14であった.F群においては,CVPが高いほど高く,術後年数が多いほどLFindexは高い傾向がみられた.また肝内のelastogramの分布も術後年数が多いほどpatchyな変化を示した.
【考察】
術後CVPが高いF術後においては,術後年数が高いほど,CVPが高いほどLFindexが高い傾向にあり経時的に観察することにより肝繊維化・肝硬変の発生の予見の可能性が示唆された.今後症例を増やし検討することでさらに正常範囲のcut-off値を求めてゆくことが必要と思われた.