Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:びまん性肝疾患2

(S422)

ARFI測定時の体位およびROIの設定深度の違いにおける測定値の検討

The usefullness of changing position and depth of ROI measuring ARFI

本田 普久1, 森 秀明1, 西川 かおり1, 峯 佳毅1, 小榑 二世1, 塚田 幾太郎1, 尾股 佑1, 關 里和1, 高橋 信一1, 岸野 智則2

Yukihisa HONDA1, Hideaki MORI1, Kaori NISHIKAWA1, Yoshitake MINE1, Kazutoki KOGURE1, Ikutarou TSUKADA1, Yuu OMATA1, Satowa SEKI1, Shinichi TAKAHASHI1, Tomonori KISHINO2

1杏林大学医学部第3内科, 2杏林大学臨床検査医学

1The Third Department of Internal Medicine, Kyorin University, 2Depertment of Laboratory, Kyorin University

キーワード :

【目的】
ARFI(Acoustic Radiation Force Impulse)は非侵襲的に肝硬度を予測できるとされている.しかし,同一の被験者でも体位や測定部位の違いにより測定値に変化が見られることが経験される.今回,我々は体位(臥位,坐位)および測定部位(体表からの測定深度3cmと5cm)の違いにより,ARFI測定値に差が見られるかの検討を行った.
【方法】
使用装置は持田シーメンスメディカルシステム社製のACUSON S2000で,VTTQ(Virtual Touch Tissue Quantification)という手法を用いて測定を行った.測定方法は右肋間から肝右葉を描出し,臥位および坐位で,それぞれROIを体表から深度3cmおよび5cmに設定して行った.肝硬度を反映する剪断波速度(Vs)(m/s)を各部位につき4〜5回測定し,その平均値の比較を行った.対象は正常肝群3名,脂肪肝群4名,慢性肝炎群5名,肝硬変群5名の計17名である.
【結果】
正常肝群3例のVs平均値:臥位で測定深度3cmでは1.09,5cmでは1.09.坐位で測定深度3cmでは1.70,5cmでは1.33.脂肪肝群4例のVs平均値:臥位で測定深度3cmでは1.13,5cmでは1.03.坐位で測定深度3cmでは1.73,5cmでは1.19.慢性肝炎群5例のVs平均値:臥位で測定深度3cmでは1.33,5cmでは1.43.坐位で測定深度3cmでは1.79, 5cmでは1.69.肝硬変群5例のVs平均値:臥位で測定深度3cmでは2.25, 5cmでは1.65.坐位で測定深度3cmでは 2.21,5cmでは1.91.すべての群で臥位および坐位による体位の変化,および測定部位の深度を変えることにより測定値に差が認められた.肝硬変群の測定深度3cm以外は坐位が臥位に比べて,ARFI測定値が高値となった.また測定深度による比較では慢性肝炎群の臥位以外では3cmは5cmと比べ,ARFIが高値を示していた.
【結語】
ARFIは体位,測定部位の深度の影響を受ける.一部を除き坐位は臥位と比べて高値を示し,ROIは深い部位よりも浅い部位の方が高値となる傾向が認められた.今後ARFIを用いて肝硬度の評価を行う上では体位や測定部位を一定にして検査を行う必要があると思われた.