Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:びまん性肝疾患1

(S419)

脂肪肝の超音波診断における検者間のバラツキについて

Discrepancy of ultrasound diagnosis of fatty liver among examiners

杉田 貴子1, 矢島 義昭2, 武田 美衣1, 佐藤 武敏1, 見田 尊3, 戸塚 真弓4, 黒沢 功5

Takako SUGITA1, Yoshiaki YAJIMA2, Mie TAKEDA1, Taketoshi SATO1, Takeru MITA3, Mayumi TOZUKA4, Isao KUROSAWA5

1黒沢病院付属ヘルスパーククリニック検査部, 2黒沢病院付属ヘルスパーククリニック内科, 3黒沢病院付属ヘルスパーククリニック放射線科, 4黒沢病院付属ヘルスパーククリニック健診部, 5黒沢病院付属ヘルスパーククリニック泌尿器科

1Clinical Laboratory, Health Park Clinic Kurosawa, 2Department of Internal Medicine, Health Park Clinic Kurosawa, 3Department of Radiology, Health Park Clinic Kurosawa, 4Department of Health Screening, Health Park Clinic Kurosawa, 5Department of Urology, Health Park Clinic Kurosawa

キーワード :

演者らは前回の総会でdifferential THIを搭載した超音波装置を用いた新しい脂肪肝の診断基準について報告した1).今回はこの新しい診断基準に従った場合の検者間のバラツキについて報告する.
【対象および方法】
対象は前回の検討と同じ集団で,健診で発見された肝腎コントラスト陽性の85例である.用いた超音波装置は前回と同様に東芝のEXALIO-XGである.CT装置はシーメンス社製のSomatom definition AS+である.超音波専門医が既に診断している症例について,認定検査技師と検査技師の両名がblindで,記録されている静止画像を診断した.脂肪肝の超音波診断基準は肝腎コントラスト軽度を脂肪化(+),肝腎コントラスト中等度を脂肪化(++),肝血管不鮮明化や深部減衰を伴った場合は脂肪化(+++)とした.脂肪化(++)以上を脂肪肝とした.
【結果】
1)超音波専門医の診断のバラツキ超音波専門医が脂肪化の程度を3群に分類した.各群のCTNは脂肪化(+)51.9±5.0 HU,脂肪化(++)40.0±8.6 HU,脂肪化(+++)28.9±8.1 HUであった(図).2)検者間のバラツキ今回用いた装置ではbeamの入射が不十分であると深部減衰が出現し,また肥満者では腹壁の脂肪組織が原因で減衰が強くなる傾向があった.これらのことが過剰診断の原因と考えられたが,熟練者はこれらの撹乱因子を適切に処理することができた.脂肪肝の診断の一致率は超音波専門医VS 認定検査技師では76%,超音波専門医VS検査技師では52%であった.
【考察】
熟練した超音波専門医による脂肪化のgradingはCTNとよく一致した.検者間でのバラツキは,軽度の肝腎コントラストの検出においては少ないが,脂肪肝に相当する中等度の肝腎コントラストの診断においては熟練が必要である.
文献
1)矢島義昭,ほか:Differential tissue harmonic imaging超音波診断装置による脂肪肝の所見:CT所見との対比による診断基準の再評価. Jpn J Med Ultrasonics 2010;37:587-92