Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:消化管4

(S416)

急性腹症の手術適応診断における造影超音波検査の有用性

Ultrasound assessnment for acute abdomen with a ultrasound contrast

大堂 雅晴1, 竹内 保統2, 垂水 綾2, 近藤 明日香2, 富園 正朋2, 中川 麻里2

Masaharu ODO1, Yasunori TAKEUCHI2, Aya TARUMI2, Asuka KONDO2, Masatomo TOMIZONO2, Mari NAKAGAWA2

1小林市立病院外科, 2国立病院機構熊本医療センター生理検査

1Surgery, Kobayashi City Hospital, 2Physical labolatory, National Hospital Organization Kumamoto Medical Center

キーワード :

【目的】
急性腸管膜虚血に対する診断は血流低下の時点で血管メディエーターが放出され,壊死に陥った場合,死亡率33%と報告され,診断,治療の緊急性を要する.この診断が困難であるのは腹部所見(腹痛)が必ずしも身体所見と相関しないことである.腸管膜虚血の画像診断では,造影CT(CECT),選択的血管造影(IVR)が有用である.しかしながら,診断時にアレルギー歴を含めた既往歴の問診が困難であることや,全身状態が不良であり造影剤使用が困難であることが多い.われわれは門脈気腫をともなう急性腹症を35例経験しうち4例に対してCECTを行えず,試験開腹となった4症例を経験した.このような試験開腹症例を回避する目的にて急性腹症症例に対する造影剤超音波検査を導入し,今回,その有用性を検討した.
【対象】
急性腹症にて搬送され腸管膜虚血が疑われた8症例に関して検討した.年齢47才から91才.男性4例,女性4例.
【方法】
使用装置は東芝AplioXG,GE横河メディカル社製Logic9E.Sonazoidは0.015mL/kgをボーラス投与しvascular phaseにて観察した.
【結論】
7例が血圧低下などの全身状態不良,1例は腎機能不良症例にてCECTが回避された.US所見では全症例に回腸末端を中心とした腸管壁肥厚を認め,3例に門脈内のガスが確認された.造影効果(+)症例は6例であった.造影効果(+)症例中1例において円弧状造影効果を認め,5例はびまん性の造影効果を認めた.うち1症例は症状の改善がなく開腹手術となり,好酸球性腸炎の診断であった.造影効果(-)症例2例ともに開腹手術の適応となり腸管壊死にて大量腸切除を施行した.
【結語】
造影超音波検査は急性腸管膜虚血症例に対する手術適応を決定する上で有用であった