富澤 稔¹, 篠崎 文信², 長谷川 留魅子³, 白井 芳則³, 一木 昇³, 杉山 隆夫⁴, 山本 重則⁵, 末石 眞⁴, 吉田 孝宣⁶

Minoru TOMIZAWA¹, Fuminobu SHINOZAKI², Rumiko HASEGAWA³, Yoshinori SHIRAI³, Noboru ICHIKI³, Takao SUGIYAMA⁴, Shigenori YAMAMOTO⁵, Makoto SUEISHI⁴, Takanobu YOSHIDA⁶

¹独立行政法人国立病院機構　下志津病院消化器内科, ²独立行政法人国立病院機構　下志津病院放射線科, ³独立行政法人国立病院機構　下志津病院外科, ⁴独立行政法人国立病院機構　下志津病院リウマチ科, ⁵独立行政法人国立病院機構　下志津病院小児科, ⁶独立行政法人国立病院機構　下志津病院内科

¹Department of Gastroenterology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, ²Department of Radiology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, ³Department of Surgery, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, ⁴Department of Rheumatology, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, ⁵Department of Pediatrics, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital, ⁶Department of Internal Medicine, National Hospital Organization Shimoshizu Hospital

キーワード :

【目的】
大腸癌の診断は大腸内視鏡検査（CF）で行われる．CFは被検者に苦痛を伴うので術前に大腸癌の有無について情報があれば症例を選択し，積極的にCFを勧めることが可能になる．腹部超音波検査（US）にて大腸癌が疑われ，CFを施行した症例について画像，血液検査について比較検討した．
【方法】
2009年11月より2010年10月までスクリーニングUSにて大腸壁肥厚等の所見がみられ大腸癌が疑われ，CFを施行した症例について，画像，血液検査を比較検討した．
【成績】
大腸癌2例，有意な所見を指摘されなかった例は2例であった．症例1は86歳女性．右側腹部痛を主訴に当院を受診．WBC:10600/μl，CRP:2.8mg/ml，CEA:9.7 ng/ml．上行結腸に直径2.0cmの不整形の低エコーの腫瘤を認めた．CFでは上行結腸に陥凹を呈する隆起性の癌を認めた．症例2は77歳男性．腹痛，便秘を主訴に当院を受診．WBC:7500/μl，CRP:13.2 mg/ml，CEA:11/7 ng/ml．CFではS状結腸に扁平な隆起性の癌を認めた．症例3は75歳男性．腹痛にて当院を受診．USにて上行結腸に不鮮明な直径3.0cmの腫瘤を認めた．WBC:4000 /μl，CRP:0.3 mg/ml，CEA:2.1 ng/ml．CFでは有意な所見はみられなかった．症例4は63歳男性．腹痛，便秘を主訴に当院を受診．USでは上行結腸の不明瞭な壁肥厚を認めた．WBC:6100 /μl，CRP:0.1 mg/ml，CEA:7.6 ng/ml．CFでは有意な所見はみられなかった．大腸癌の症例ではWBC，CRP，CEAが高値を呈していた．一方非大腸癌例ではUSにて腫瘤または大腸壁肥厚等の所見の再現性が悪い傾向があった．
【考察】
WBC，CRP，CEA高値の症例では大腸癌が存在する可能性があるので注意深くUSを施行する必要があると考えられた．