Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:消化管3

(S413)

消化管超音波検査の有用性:腹痛を契機に発見された小腸憩室性疾患と重複腸管の検討

Use of ultrasonography for the diagnosis of gastrointestinal disease : Examination of Diveticulosis and Duplication of the Small Intestine

佐々木 綾香1, 後藤 規弘1, 井谷 智尚1, 三村 純1, 森 悠香2, 山野 愛美2, 登尾 薫2, 佐藤 信浩2, 内田 浩也2

Ayaka SASAKI1, Norihiro GOTO1, Toshinao ITANI1, Jun MIMURA1, Yuka MORI2, Megumi YAMANO2, Kaoru NOBORIO2, Nobuhiro SATO2, Hiroya UCHIDA2

1西神戸医療センター消化器科, 2西神戸医療センター臨床検査技術部

1Nishi Kobe Medical Center, Department of Gastroenterology, 2Nishi Kobe Medical Center, Department of Clinical Laboratory

キーワード :

【目的】
小腸憩室は,Meckel憩室を除くと頻度が少なく,剖検での発見率は0.02〜1.3%,全消化管憩室の1.4〜3.2%と報告されている.一方Meckel憩室は剖検の2%前後で発見される.いずれも無症状で経過するものがほとんどであるが,稀に出血,腸閉塞,憩室炎,穿孔などを来す.他方,重複腸管は先天奇形の一つであり,小児期に消化管出血,腫瘤触知などで発症することが多い.当院で経験した小腸憩室,Meckel憩室,重複腸管について検討した.
【方法】
1994年から2010年に当院で経験した小腸憩室炎3例,Meckel憩室による絞扼性イレウス6例,重複腸管の3例を対象とし,それぞれの症状,画像診断,治療経過について検討した.
【結果および考察】
小腸憩室炎の3例は平均年齢67.7歳(58〜74歳)で,右下腹部痛と発熱を主訴に受診し,抗生剤により保存的に軽快した.Meckel憩室による絞扼性イレウスの6例は平均年齢39.5歳(10〜77歳)で,腹痛・嘔吐を主訴に受診し,6例とも絞扼性イレウスの診断で外科的治療を施行した.イレウス機序はMeckel憩室自体の捻転が1例,Littreヘルニア1例,mesodiverticular bandによる絞扼4例で,いずれも術後経過良好であった.重複腸管の3例は,平均年齢38.7歳(4〜71歳)で,右下腹部痛を主訴に受診し,腹部超音波検査・CT検査で重複腸管が疑われた.うち2例は外科的治療を施行し,重複腸管の確定診断を得た.もう1例は,症状が消失したため経過観察を行っている.小腸憩室,Meckel憩室,重複腸管はいずれも消化管超音波検査にて嚢胞性病変として描出されるが,小腸憩室,重複腸管は腸間膜付着側に発生し,Meckel憩室は腸間膜付着対側に発生するなどの病理学的特徴をふまえて観察することにより,ある程度の鑑別が可能であると考えられた.
【結論】
これらは稀な疾患であるが一旦発症すれば外科的治療が必要になることが多い.腹膜炎,絞扼性イレウスが疑われた場合,小腸憩室やMeckel憩室,重複腸管の可能性も考慮し,それぞれの特徴を踏まえ,観察を行うのが重要であると考えられた.