Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:消化管3

(S412)

腸アニサキス症における超音波検査の有用性-大腸アニサキス虫体像からの検討-

The utility of ultrasonography in the intestinal anisakiasis -Investigation for the mite’s body image of the colon anisakiasis-

日高 真一1, 井出 満1, 森寺 一二美1, 中村 一久1, 大津 一孝1, 金城 麻美1, 植田 智恵2, 井上 太郎2

Shinichi HIDAKA1, Mitsuru IDE1, Hihumi MORITERA1, Kazuhisa NAKAMURA1, Kazutaka OOTSU1, Asami KINJYOU1, Chie UEDA2, Tarou INOUE2

1岸和田徳洲会病院放射線科, 2岸和田徳洲会病院消化器内科

1Department of Radiology, Kishiwada Tokushukai Hospital, 2Department of Gastroenterology, Kishiwada Tokushukai Hospital

キーワード :

【はじめに】
しばしば腸閉塞をともなう急性腹症として来院する小腸アニサキス症の超音波検査(以下US)では小腸壁の限局性肥厚(トウモロコシ様サイン※),腹水といった間接サインが診断のカギとなる.稀であるが肥厚腸管部位に線状high echoの2重ラインといった虫体を疑う直接サインも描出されることもある.今回われわれはUSで同上のサインを認め,大腸アニサキス症を疑い内視鏡で確認し得たので報告する.
【対象と方法】
2009年3月から2010年12月までに当院USにて腸アニサキス症を疑った5症例(小腸4例,大腸1例)の内,線状high echoの2重ラインが描出可能であった小腸2例,大腸1例で比較検討した.使用機器は東芝社制AplioXG,3.75MHzコンベックスプローブおよび6〜8MHzリニアプローブを使用.大腸アニサキス症疑いで大腸内視鏡を施行し除去できた虫体を生食の入った水槽に入れリニアプローブで観察した.このとき反射を防ぐためガーゼの上に虫体を置いた.
【結果】
水槽内の虫体は線状high echoの2重ライン像として描出され,USで描出された線状high echoの2重ラインの画像と一致した.又,対象症例である小腸2例の線状high echoにおいても同様の画像であった.
【考察】
今回大腸アニサキス症という稀な症例を経験し虫体のUS画像と腸管内の線状high echo像を比較することができた.生鮮魚類食歴情報を基に腸管の限局性肥厚(トウモロコシ様サイン),腹水等の間接所見とさらに腸管内に線状high echoの2重ライン(直接所見)が描出されれば積極的にアニサキス症を疑うことが可能と考えられる.
【結語】
腸アニサキス症は診断に苦慮するケースが多く,特に小腸は胃や大腸のように内視鏡で観察することが困難であり,直接所見描出が小腸アニサキス症の診断において極めて有用であると思われる.
【参考文献】
※ 湯浅肇 井出満;消化管エコーの診かた・考えかた