眞部 紀明¹, 畠 二郎¹, 筒井 英明³, 今村 祐志¹, 高田 珠子¹, 山下 直人², 楠 裕明², 春間 賢³

Noriaki MANABE¹, Jiro HATA¹, Hideaki TSUTSUI³, Hiroshi IMAMURA¹, Tamako TAKATA¹, Naoto YAMASHITA², Hiroaki KUSUNOKI², Ken HARUMA³

¹川崎医科大学検査診断学（内視鏡・超音波）, ²川崎医科大学総合臨床医学, ³川崎医科大学消化管内科学

¹Division of Endoscopy and Ultrasonography, Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School, ²Department of Health Care Medicine, Kawasaki Medical School, ³Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Medical School

キーワード :

【背景】
白血球系細胞除去療法（Cytapheresis: CAP）は潰瘍性大腸炎（Ulcerative colitis: UC）に対する非薬物的・非外科的治療法である．同療法により内科的にコントロール可能な患者が増加してはいるが，オールマイティーな治療法ではないため，その治療効果をできる限り早めに予測し，効果が無ければ速やかに他の治療法に変更する必要がある．しかしながら，現時点ではCAPの治療効果を予測し得る有効なマーカーはない．以前より，UCの活動性と内臓血流とは密接な関係があると報告されている．近年，次世代超音波造影剤であるソナゾイド^®を用いる事でperfusion levelの血流評価がリアルタイムに可能となったが，同手法をUC患者に対するCAPの治療効果予測に臨床応用した報告はない．
【目的】
活動性UCに対するCAPの治療効果予測に造影超音波（Contrast-enhanced ultrasonography: CEUS）が有効であるかを検討する．
【対象と方法】
川崎医科大学附属病院に通院中の活動性UC患者13例（男性5例，平均年齢52.7才，Mayo score 8.5 ± 0.4点）を対象に，CAP施行前，施行2週後にCEUSを施行した．USは全例無処置で施行し，続けて最も壁肥厚の顕著な部位に対しCEUSを2分間施行した．装置は東芝SSA-770Aを用い観察には3.75MHz コンベックスプローブあるいは7MHzリニアプローブを適宜使用した．造影USの設定についてはMI値0.2-0.3，Dynamic range 40-50 dB，Frame rate 15-60fpsとした．造影剤はソナゾイド^®を用い0.015 ml/kgを右正中肘静脈よりone shotで静注した．なお，大腸壁のperfusion levelの血流動態の評価には以下の3項目を用いた（Fig. 1）．1） Lag time, 2） Peak intensity, 3） P/L ratio: ［（Peak intensity） / （Lag time）］.
【結果】
全例大腸壁のperfusion levelの血流動態の評価が可能であった．対象患者はCAPで効果が得られたGroup A （n=9）と効果の得られなかったGroup B （n=4）に群別できた．2群間には治療前の臨床上活動指数およびCEUSのパラメータに有意差は見られなかった．しかしながら，2週後にGroup AではP/L ratioがGroup Bに比較して有意に低下していた．（Group A: 0.5 ± 0.1 vs. Group B: 1.9 ± 0.4, p ＜ 0.05）.
【結論】
CEUSによるP/L ratioは活動性UCに対するCAPの早期治療効果判定予測になり得る．