Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:胆道系

(S410)

胆膵疾患に対するOptical Coherence Tomography〜IDUSとの比較検討〜

Optical coherence tomography for the pancreatobiliary disease compared with intraductal ultrasonography

鈴木 雅貴

Masaki SUZUKI

宮城県立がんセンター消化器科

Internal Medicine, Miyagi cancer center

キーワード :

【背景・目的】
近年,光の干渉現象を利用して微細な断層像を得るOptical Coherence Tomography(OCT)が開発され,管腔内超音波検査法(IDUS)の10倍,300MHzに相当する分解能を持つとされる.今回胆膵疾患に対し,OCTとIDUSを同時に施行しそれぞれの有用性について検討した.
【対象・方法】
2008年8月から2010年5月までにOCTを施行した症例は18例で,このうちIDUSを同時に施行した胆管癌4例,胆嚢癌1例,乳頭部癌2例,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)6例の計13例を対象にした.切除標本を用いて胆管壁,膵管壁を観察し観察深度,壁構造,癌の深達度について検討した.胆管癌,胆嚢癌,乳頭部癌症例では胆管壁を,IPMN症例では膵管壁を検討した.尚,胆嚢癌の1例を除く12例ではin vivoでも検討を試みた.
【結果】
観察深度はOCTが平均0.8mm(0.5~1.5mm),IDUSは平均16mm(12~25mm)であった.胆管壁構造に関して,IDUSでは内側低エコー,外側高エコーの2層として認められたが,OCTでは一層の粘膜上皮,線維筋層結合組織,漿膜下層線維組織,漿膜下層脂肪組織,膵腺房組織と,それぞれが明瞭に区別され描出された.膵管壁では,IDUSでは一層にしか認識できなかったが,OCTでは粘膜上皮,結合組織,疎な組織間隙,膵腺房組織と,ルーペ像同様に区別が可能であった.胆管癌の深達度に関してIDUSでは全例深達度が判定可能であったが,OCTでは光の散乱のため1mmを超える病変の同定は不可能であり深達度診断は困難であった.主腫瘍部ではIDUSでは低エコーの腫瘤として描出されたのに対し,OCTでは内部の腺構造が描出でき組織型の判定が可能であった.IPMNに関してはOCTはIDUSでは捉えられない微小なlow-grade dysplasiaの粘膜を明瞭に描出できた.またmoderate~severe grade dysplasiaではIDUSでは壁肥厚所見のみであったがOCTでは乳頭状の構造も明瞭に描出できた.
【結論】
OCTではoptical biopsyといわれるようにほぼルーペ像同様の画像が得ることができる.このため粘膜の微細な病変を捉えることができるが垂直方向の観察域が1mm程度であり,深達度診断には有用ではない.よって深達度診断が可能なIDUSと組み合わせることにより,今後より正確な進展度診断が可能となることが示唆された.