吉田 哲也¹, 神山 直久¹, 嶺 喜隆¹, 飯島 尋子², 森安 史典³

Tetsuya YOSHIDA¹, Naohisa KAMIYAMA¹, Yoshitaka MINE¹, Hiroko IIJIMA², Fuminori MORIYASU³

¹東芝メディカルシステムズ（株）超音波開発部, ²兵庫医科大学内科肝胆膵科, ³東京医科大学消化器内科

¹Ultrasound Systems Development Department, Toshiba Medical Systems Corporation, ²Division of Hepatobiliary and Pancreatic Medicine, Hyogo College of Medicine, ³Department of Gastroenterology & Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【はじめに】
　現在の超音波ガイド下の穿刺治療において，超音波断層像に垂直なスライス方向の画像情報が得られない為，治療精度向上の余地が残されている．そこで我々はより正確な穿刺を支援すべく「4D Biopsy」モードを開発した．今回我々は本機能の概要および今後の展望について報告する．
【方法】
　ボリウムイメージングの厚みつき断層モードVolPureを流用し，厚み付き平面の位置が穿刺アダプタの角度設定と連動して変化するように改良を施した．本機能によれば，通常のA面に加えて，穿刺ラインを含んだ面（以下，穿刺面），穿刺ラインに直交する面を同時にリアルタイム表示可能となる（図1）．穿刺面は1cm弱の厚みを持っているため，A面上で針が穿刺ラインから多少ずれた場合にも穿刺面において針が表示可能となる．さらに，穿刺の正確性を向上する支援機能として，立体的球形「TargetGuide（以下，TG）」をボリウム内に配置可能とした．TG中心位置を穿刺ライン上に制限し，各平面にはTGとの交線および中心を表示することで，ターゲットとなる病変の中心位置の認識を容易にした．また本機能は非造影・造影の両モードで利用可能とした．
　評価に使用した超音波診断装置はAplio^TM XG，探触子は凸型メカニカル4Dプローブ（PVT-375MV，382MV）．対象は肝がんRFA治療時の穿刺とした．
【結果とまとめ】
　本機能の使用により，針と腫瘍の3次元的位置関係が可視化され，針が腫瘍の中心を捉えられた（図2）．また腫瘍と針先のみならず，周囲の臓器や血管等との位置関係も認識可能となり，正確でかつ安全な穿刺が行えた．TGは穿刺時のみならず，穿刺直後の針位置の評価においても有用であった．
　一方で4Dスキャンを行うことで時間分解能が毎秒3〜5ボリューム程度と制約され，特に呼吸の影響を受けやすい肝臓が対象の場合にその制約が問題となった．また乳腺などの表在領域においては穿刺アダプタを使わないフリーハンドの穿刺がしばしば施行されるため，針面の自動検出技術が望まれた．今後は上記問題を改善していきたい．