Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:肝新手法

(S398)

造影超音波検査における新手法「新PS-Low法」の検討

Clinical evaluation of contrast-enhanced ultrasonography for hepatic tumor using new PS-LOW method

竹島 賢治1, 乙部 克彦1, 高橋 健一1, 加藤 廣正1, 今吉 由美1, 川島 望1, 坂野 信也1, 熊田 卓2, 豊田 秀徳2, 多田 俊史2

Kenji TAKESHIMA1, Katuhiko OTOBE1, Kenichi TAKAHASHI1, Hiromasa KATOU1, Yumi IMAYOSHI1, Nozomi KAWASHIMA1, Shinya BANNO1, Takashi KUMADA2, Hidenori TOYODA2, Toshifumi TADA2

1大垣市民病院医療技術部診療検査科形態診断室, 2大垣市民病院消化器科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Department of Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
従来,造影超音波検査において深部に存在する腫瘍や高エコー腫瘤に対して,減衰や組織からの信号が混在することにより造影効果の評価に難渋することがあった.今回我々は東芝社製Aplio XGに新たに搭載された新PS-Low法を用い,このような弱点に良好な改善を経験したので報告する.
【対象】
2010年5月6日から8月31日までに新PS-Lowを用い造影超音波検査が施行された46症例で,動脈優位相からの質的診断用造影超音波検査:24例,後血管相のみ存在診断用造影超音波検査:22例である.
【検討項目および方法】
静注前の造影モード(従来のPS-low )画像にて,①ターゲットが深部で認識不可能な場合  ②後血管相存在診断評価にて深部に造影効果が得られない ③高エコー腫瘤のため造影効果判定が困難な症例を対象に,1.動脈優位相からの質的診断2.後血管相のみ存在診断 について検討した.動脈優位相からの質的診断の場合は,静注前の造影モードにてPS-Low法と新PS-Low法との比較を,また新PS-Low法を行うことによる腫瘤像の造影効果について検討した.後血管相のみ存在診断の場合は,静注後約30分後の後血管相での造影効果の違いを評価した.
【使用機器】
使用装置TOSHIBA AplioXG
【結果】
動脈優位相からの質的診断の場合は24例中23例(95.8%)が有効で,その内訳は高輝度腫瘍における造影視認性向上したものが12例,組織輝度が低減し深部描出能向上したものが11例であった.後血管相のみ存在診断の場合は22例中19例(86.4%)が有効で,その内訳は高輝度腫瘍における造影視認性向上したものが1例,組織輝度が低減し深部描出能向上したものが18例であった.また効果が無かったものは,質的診断ではTACE後の1例と存在診断では大きな変化を認めなかった2例であった.
【考察】
従来,造影超音波検査において深部に存在する腫瘍や高エコー腫瘤に対して,減衰や組織からの信号が混在することにより造影効果の評価に難渋することがあった.これらの原因の一つに画質の向上を目的に組織からのハーモニック成分も利用して画像を構成するDifferential CHI モードを利用していることが原因の1つと考えられた.ゆえに今までは深部や高エコー腫瘤に対してはこのDiffCモードを解除し周波数を下げて対応してきたが,penetorationと引き換えに得られた画像は非常に荒く微細な病変の描出には劣っていた.今回,我々が経験した新PS-Lowは,詳細な原理は明らかにはされていないが,AM法の組織輝度の低減と高輝度腫瘍における造影視認性が向上されており,画質も従来の対応策に比し良好が画像が得られている.反面,肝表面などプローブに近い部分のバブルに影響を及ぼす傾向にあり,浅〜中部は従来法,深部は新PS-Low法と使い分けることにより,効率よく詳細な造影超音波が可能となると考えられた.
【結語】
 新PS-Low法は従来の造影超音波の従来の弱点が改良され,効率よく詳細な造影超音波検査が可能となった.