Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:肝腫瘍4

(S397)

肝疾患における超音波診断とMRI診断の比較

Comparison of ultrasonic diagnosis and MRI diagnosis in liver disease.

中河原 浩史, 小川 眞広, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 阿部 真久, 松本 直樹, 矢島 真弓, 中川 千秋, 星野 京子, 森山 光彦

Hiroshi NAKAGAWARA, Masahiro OGAWA, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Masahisa ABE, Naoki MATSUMOTO, Mayumi YAJIMA, Chiaki NAKAGAWA, Kyoko HOSHINO, Mitsuhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院内科

Gastoroentererology and Hepatology, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【目的】
超音波検査をCT・MRI検査を比較した場合,客観性という観点からはどうしても劣ってしまう.これらの検査と比較して超音波検査が優る点はやはり空間分解能と時間分解能であるといえる.本来非侵襲的な検査法としてスクリーニング的に扱われていたが造影超音波検査の導入により詳細な血流診断も可能となり精密検査的な意味合いも出現している.肝疾患の診断においては肝がんの診断以外にもびまん性肝疾患の評価なども含まれ他の検査と比較した場合に超音波検査の利点をどのように活かすかが検査効率の点からも重要視されるようになってきている.そこで今回我々は,磁気センサー搭載の超音波診断装置を用いることによりEOBプリモビスト造影MRI検査をreference画像として用い超音波検査とMRI検査の比較検討を行なったので報告する.
【方法】
対象は肝細胞癌の診断目的(再発診断も含む)で慢性肝障害症例に対しほぼ同時期にEOBプリモビスト造影MRI検査とSonazoid造影超音波検査が施行された130症例とした.磁気センサー搭載型の超音波画像にEOB造影MRI検査の画像のDICOM画像を入力しMRI画像をreference画像としてB-modeで検査を施行した後に指摘結節に対し造影超音波検査を施行しMRI検査の造影効果を比較した.比較項目は①びまん性肝疾患に対する評価,②肝腫瘍性病変に対する検出能,③造影効果に対する評価(動脈優位相における腫瘍濃染像と後血管相における欠損像)とした.(使用装置および条件)MRI:PHILIPS社製INTERA 1.5T ACHIEVA NOVA,超音波診断装置:GE横河ヘルスケア社製LOGIQE9,使用探触子:C1-5,9L,使用造影剤:sonazoid0.015ml/kgまたは0.5ml/body静脈内ボーラス投与し約40秒までをarterial phase10分以降をpost vascular phaseとして撮影した.
【成績】
①肝腫大・萎縮の評価についてはMRIが客観性に高く優れていたが肝実質の不均一さ脈管・胆管の不整像などの詳細な評価については超音波検査が優れていた.②肝内結節性病変の描出能は一部の死角を除き超音波検査が優れ約5mm以上となると結節性病変として指摘可能であった.特に高周波プローブを用いることでMRI検出不能結節が高頻度に検出された.③arterial phaseにおいては造影超音波検査のほうが優れ約10%の結節においてMRIで造影効果を認めないものの造影効果を認めた.post vascular phaseでは2cm以下の結節性病変において約23%で欠損像の不一致症例を認め,このうち約85%の症例がEOB造影MR肝細胞造影相の欠損を淡く認めるものの造影超音波検査post vascular phaseで欠損を呈さない結節であった.
【結論】
超音波検査の優れる点としては造影剤の安全性のほかにB-modeにおけるびまん性肝疾患の評価と早期からの結節性病変の拾い上げに優れていた.造影検査においては早期肝がんの検出に優れているといわれる後血管相の検出率では劣っていたが腫瘍内血流の評価は優っていた.以上より超音波検査は肝疾患の診療において肝がんのHigh risk groupの拾い上げと造影超音波検査による肝腫瘍の多血化に伴う治療適応の判断に優れる検査法であると考えられた.