Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2011 - Vol.38

Vol.38 No.Supplement

一般口演
消化器:膵2

(S391)

2cm以下の膵低エコー腫瘤診断における造影USの有用性

Usefullness of contrast enhanced US for the diagnosis of pancreatic low echoic lesion(≦2cm)

高倉 玲奈, 高野 保名, 井岡 達也, 吉岡 二三, 福田 順子, 仲尾 美穂, 上田 絵理, 田中 幸子

Rena TAKAKURA, Yasuna TAKANO, Tatsuya IOKA, Fumi YOSHIOKA, Junko FUKUDA, Miho NAKAO, Eri UEDA, Sachiko TANAKA

大阪府立成人病センター検診部

Cancer Survey, Osaka Medical Center for Cancer and CVD, Osaka, Japan

キーワード :

【はじめに】
ハーモニックイメージ法や高周波probe使用などによる超音波診断精度の向上により膵の小さな低エコー腫瘤が体外式USで指摘される割合が高くなっている.早期膵癌の診断は困難であり,体外式USあるいはEUS以外の他画像では指摘されない早期膵癌の発見のためには全例にERCP膵液細胞診やEUS下FNAを施行する方針もひとつにはあるが,侵襲性の高い入院を要する検査であるため,適応症例の選択がのぞましい.早期膵癌の診断体系における非侵襲的な検査である造影USの有用性について検討する.
【対象】
2007年4月から造影USを行った2cm以下の膵低エコー腫瘤100例(径1cm以下40例,1.1-1.5cm35例,1.6-2.0cm25例.頭部41例,体部52例,尾部7例)最終診断は膵管癌24例,膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)1例,腫瘤形成性膵炎4例,自己免疫性膵炎2例,内分泌腫瘍1例,のう胞6例,漿液性嚢胞腫瘍(疑い含む)2例,副脾(疑い含む)4例,その他の症例は精査にて悪性を否定,あるいは経過観察(4-42か月)にて病変不変または消失を確認している.
【方法】
使用装置はLOGIQ7またはEUB-8500,probeは2.0-5.5MHzコンベックスプローブあるいは高周波probeを使用.ソナゾイド0.015ml/Kgを静注し,MI0.02前後で約2分間染影を観察した.染影パターンは周囲膵と比較してhypo-,iso-,hyper-,a-vascularに分類した.精査にて悪性否定後,あるいは精査拒否のため経過観察を行った症例についてはその後のB-mode像変化について検討した.
【結果】
1, hypo-55例,iso-33例,hyper-3例,a-vascular7例で,51例にERCPあるいはEUS/FNA精査を施行した.2, 膵管癌24例のうち,造影前のB-mode像で尾側膵管の拡張を認めない症例は6例であった.染影パターンはhypo23例,hyper1例であった.造影CTまたは造影MRで膵腫瘤を認識できない症例は3例あり,うち2例は間接所見を認めていない.3, 造影US後の経過観察症例のうちhypo-vascular15例中4例は低エコー消失,11例は不変,iso-vascular25例中13例は低エコー消失,12例は不変であった.経過観察(4-42ヶ月)症例について経過中悪性所見は認めていない.
【結語】
造影エコー検査は小さな低エコー腫瘤診断においてERCPやEUSFNAといったより侵襲性の高い精査へすすめるかどうかの鑑別に有用であると考える.